日本電気硝子は、主要部材に結晶化ガラスを使用した「オール結晶化ガラス 全固体ナトリウムイオン二次電池」の開発を進めている。なお、電池の主要な部材に結晶化ガラスを用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の開発は世界初だという。
日本電気硝子は、エネルギーに関連する総合展「スマートエネルギーWeek 春」(2023年3月15〜17日、東京ビッグサイト)内の「第14回 国際二次電池展 春」に出展し、開発中の「オール結晶化ガラス 全固体ナトリウムイオン二次電池」を披露した。今回の製品は2025年に発売される予定だ。
同社は特殊ガラス製品およびガラス製造機械の生産と販売を手掛けるメーカーだ。そのガラスに関する知見を生かして生み出したのが、今回のオール結晶化ガラス 全固体ナトリウムイオン二次電池である。オール結晶化ガラス 全固体ナトリウムイオン二次電池は、電池材料が全て無機酸化物で構成されているため、何らかのトラブルが発生したとしても、使用時や製造時に発火や爆発が起こらず、有害物質も発生しない。
実際に安全性を確認するためにクギを刺して貫通させるクギ刺し試験も行っているが、発火や有害物質の発生は確認されなかった。大電流を流す過充電試験も同電池に実施し、20V(ボルト)の高電圧を受けても材料が分解せず、電池が爆発する危険性がないことが判明した。
同電池の主要部材には同社が開発した結晶化ガラスを採用している。結晶化ガラスは、ガラスの軟化流動性を利用して、正極、負極、固体電解質を強固に一体化することに応じ、有機系電解液を超えるイオン伝導性と広い作動温度域を持つ。
結晶化ガラス製の正極、負極、固体電解質を強固に一体化した蓄電素子は、薄く平滑にすることができ、複数を集積して、高密度な集積電池を作れる。この特徴を生かして、同電池は、一部に固体電解質としてβアルミナを使用していた全固体ナトリウムイオン二次電池と比べ、同じエネルギー容量でパッケージサイズを2分の1にできる。
蓄電素子のサイズやつなげ方(直列と並列)、配置はアレンジ可能で、大容量化にも対応する。現状の最小サイズは、結晶化ガラスで作られた50枚の蓄電素子を並列接続した500mAhの集積電池で、電極部分にはアルミニウムを採用している。
また、有機系電解液のように凍結することがないため−40℃の低温で使え、同電池に耐熱パッケージを施すことで200℃までの高温でも蒸発せずに利用できる。同電池1個当たりの出力は最大で3Vだが、2個の同電池を並列接続することで、リチウムイオン電池の出力である3.7Vに対応し、リチウムイオン電池の代替品としてのニーズにも応えられるという。
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