DNPは、PTPのアルミ箔をシートと同じ材質のポリプロピレン(PP)に置き換えられるPTP用PPフィルムを開発したと発表した。
大日本印刷(DNP)は2025年7月7日、PTPのアルミ箔をシートと同じ材質のポリプロピレン(PP)に置き換えられるPTP用PPフィルムを開発したと発表した。
従来のPTP用PPフィルムはアルミ箔と同様に、製剤を押し出しやすくするための特殊な加工が施されている。そのため、水蒸気などに対するバリア性能の搭載が困難だった。さらに、アルミ箔と比べて耐熱性が低く熱による伸縮が大きいため、印刷適性や製剤を保護するための密封性に課題があった。
これらの問題を踏まえてDNPは、独自のコンバーティング技術を活用し、高いバリア性能と、水蒸気透過度0.2g/m2・day以下のPTP用フィルムを開発した。同フィルムは、透明材料を用いた薄膜層で構成されているため、リサイクル性も高い。材料や加工条件の工夫によって、国内の多様な企画基準に対応する印刷適性と印刷後に必要な密封性も備えている。また、水分と湿気による品質劣化を防ぐ「医薬品包装向けPTP用樹脂シート」と、今回のフィルムを組み合わせることで、水蒸気に対するバリア性能をより高められる。これにより湿気に弱い製剤でも長期間の品質保持を図れる。
今後、DNPは医薬品メーカーに向け新製品を提供開始し、2030年度までに累計10億円の売上高を目指す。
欧州連合(EU)は2025年2月に「包装・包装廃棄物規則(Packaging and Packaging Waste Regulation、PPWR)」を発効した。これを受けて、医薬品メーカーを含む国内外の製造業ではリサイクルしやすいモノマテリアル包材の導入に向けて動きを加速している。こういった状況を踏まえて、DNPをPTP用シートのモノマテリアル化を実現する今回のフィルムを開発した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.