脱アルミとモノマテリアル化実現のPTP用フィルム 高いバリア性も搭載材料技術

DNPは、PTPのアルミ箔をシートと同じ材質のポリプロピレン(PP)に置き換えられるPTP用PPフィルムを開発したと発表した。

» 2025年07月08日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 大日本印刷(DNP)は2025年7月7日、PTPのアルミ箔をシートと同じ材質のポリプロピレン(PP)に置き換えられるPTP用PPフィルムを開発したと発表した。

従来のアルミ箔(左)と今回のフィルム(右)を用いたPTP 従来のアルミ箔(左)と今回のフィルム(右)を用いたPTP[クリックで拡大] 出所:DNP

医薬品包装向けPTP用樹脂シートと組み合わせ水蒸気バリア性をより向上

 従来のPTP用PPフィルムはアルミ箔と同様に、製剤を押し出しやすくするための特殊な加工が施されている。そのため、水蒸気などに対するバリア性能の搭載が困難だった。さらに、アルミ箔と比べて耐熱性が低く熱による伸縮が大きいため、印刷適性や製剤を保護するための密封性に課題があった。

 これらの問題を踏まえてDNPは、独自のコンバーティング技術を活用し、高いバリア性能と、水蒸気透過度0.2g/m2・day以下のPTP用フィルムを開発した。同フィルムは、透明材料を用いた薄膜層で構成されているため、リサイクル性も高い。材料や加工条件の工夫によって、国内の多様な企画基準に対応する印刷適性と印刷後に必要な密封性も備えている。また、水分と湿気による品質劣化を防ぐ「医薬品包装向けPTP用樹脂シート」と、今回のフィルムを組み合わせることで、水蒸気に対するバリア性能をより高められる。これにより湿気に弱い製剤でも長期間の品質保持を図れる。

現行品(左)と今回のフィルム(右)を活用したPTPのイメージ 現行品(左)と今回のフィルム(右)を活用したPTPのイメージ[クリックで拡大] 出所:DNP
医薬品包装向けPTP用樹脂シートと今回のフィルムの組み合わせのイメージ 医薬品包装向けPTP用樹脂シートと今回のフィルムの組み合わせのイメージ[クリックで拡大] 出所:DNP

 今後、DNPは医薬品メーカーに向け新製品を提供開始し、2030年度までに累計10億円の売上高を目指す。

PPWR発効で加速する包材のモノマテリアル化

 欧州連合(EU)は2025年2月に「包装・包装廃棄物規則(Packaging and Packaging Waste Regulation、PPWR)」を発効した。これを受けて、医薬品メーカーを含む国内外の製造業ではリサイクルしやすいモノマテリアル包材の導入に向けて動きを加速している。こういった状況を踏まえて、DNPをPTP用シートのモノマテリアル化を実現する今回のフィルムを開発した。

⇒その他の「材料技術」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.