日本の製造業の投資水準は、国際的に見るとどの程度なのでしょうか? 次に、労働者1人当たり総固定資本形成について、他の主要先進国との国際比較をしてみましょう。
図2は各国製造業の総固定資本形成を、製造業の労働者数で割った数値です。日本はドル換算値でも増加傾向が確認できますね、そして他の主要先進国と比べると相対的に高い水準が継続してきたと言えそうです。
同じ工業国のドイツと比べても1.5〜2倍程度の水準が続いていますし、米国に対しても2010年代半ばまで上回っていた事になります。工場や機械/設備などの固定資産の水準で見ると、実は日本は他国よりも多くの投資をしてきたことがうかがえます。ただし、近年では米国に抜かれ、フランスと同じくらいの水準となっているようです。
先進国で構成されるOECD各国の2021年時点での水準を比較してみると、意外にも日本は上位に位置することが分かります。OECDの平均値が2万1170ドル(約320万6000円)なのに対して、日本は3万666ドル(約464万5000円)と約1.5倍もの水準です。同じ工業立国のドイツを大きく上回り、OECD30カ国中7番目となります。
日本の製造業は投資が高い水準で続いていて、近年でも先進国の中では上位の水準にあるというのは、日本経済において製造業が重要な役割を果たしていることを裏付けていると思います。
そして、投資により蓄積された固定資産を活用することで、生産性の向上にもつながっているのですね。前回は生産性、今回は投資についてご紹介しましたので、次回は固定資産と生産性の関係について取り上げてみたいと思います。
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小川真由(おがわ まさよし)
株式会社小川製作所 取締役
慶應義塾大学 理工学部卒業(義塾賞受賞)、同大学院 理工学研究科 修士課程(専門はシステム工学、航空宇宙工学)修了後、富士重工業株式会社(現 株式会社SUBARU)航空宇宙カンパニーにて新規航空機の開発業務に従事。精密機械加工メーカーにて修業後、現職。
医療器具や食品加工機械分野での溶接・バフ研磨などの職人技術による部品製作、5軸加工などを駆使した航空機や半導体製造装置など先端分野の精密部品の供給、3D CADを活用した開発支援事業などを展開。日本の経済統計についてブログやTwitterでの情報発信も行っている。
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