ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。
今回は、日本の製造業の生産性についてご紹介します。参照するのはOECDのGDP(Gross domestic product)に関する統計データと、労働者数に関する統計データ(Population and employment by main activity)です。
日本は製造業のGDPがピークよりも目減りしていて、労働者数も減少しています。産業全体で見れば、製造業や建設業、農林水産業の労働者が減り、一方で公共的産業の労働者が増えているといった変化が進んでいますね。
産業の中でも特に製造業は生産性が高いことで知られています。そんな日本の製造業の労働生産性の実力値について、データを確認していきましょう。
「生産性」という言葉をよく耳にするようになりました。生産性は、投入量に対して産出量がどれだけ生み出せたかという効率を表します。
さまざまな場面で使われる言葉ですが、今回はその中でも、「労働者が一定期間働いて稼ぎ出す付加価値」である労働生産性について見ていきましょう。付加価値生産性とも言われますね。
GDPは国内で生産された付加価値の合計です。GDPは経済活動(産業)ごとに集計されていますので、産業ごとのGDPをその産業の労働者数で割ると、産業ごとの平均的な労働生産性(労働者1人当たりGDP)を計算できます。
図1は、日本の労働生産性(労働者1人当たりGDP)について、全産業(青)と製造業(赤)の平均値を計算したものです。
全産業平均値を見ると、1990年代後半から800万円前後で停滞し続けているのが印象的ですね。もちろん、労働時間が短くなったり、パートタイム労働者が増加したりといった影響などもありますが、25年近く労働生産性が向上していないことになります。
一方で製造業は、どの期間でも全産業平均値を上回っていて、産業の中では比較的労働生産性が高いことが確認できます。全産業平均値と比べると、アップダウンしながらもやや上昇傾向にあるようにも見えますね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.