日立新社長に徳永氏、OTとプロダクトの経験生かし「真のOne Hitachi」へ製造マネジメントニュース

日立製作所(以下、日立)は、同社 代表執行役 執行役副社長でデジタルシステム&サービス統括本部長を務める徳永俊昭氏が2025年4月1日付で新たな代表執行役 執行役社長兼 CEOに就任する人事を発表した。

» 2024年12月18日 07時30分 公開
[朴尚洙MONOist]
日立の新たな代表執行役 執行役社長兼 CEOに就任する徳永俊昭氏 日立の新たな代表執行役 執行役社長兼 CEOに就任する徳永俊昭氏[クリックで拡大] 出所:日立

 日立製作所(以下、日立)は2024年12月16日、同社 代表執行役 執行役副社長でデジタルシステム&サービス統括本部長を務める徳(正しい漢字は右側の心の上側に「一」が入る)永俊昭氏が2025年4月1日付で新たな代表執行役 執行役社長兼 CEOに就任する人事を発表した。現在、代表執行役 執行役社長兼 CEOを務める小島啓二氏は取締役副会長に就任し、代表執行役 取締役会長の東原敏昭氏は留任する。

 新社長に就く徳永氏は1967年3月15日生まれの57歳で、出身地は茨城県日立市。1990年3月に東京大学工学部を卒業し、同年4月に日立に入社した。その後、国内金融機関様向けのシステムエンジニアを皮切りに、IT、デジタルを軸にしてキャリアを重ねた後、2006年4月に情報・通信グループ 金融システム事業部 金融システム第一本部 第一部長、2014年4月に情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 サービス事業本部 スマート情報システム統括本部長、2017年4月に日立アプライアンス(現日立グローバルライフソリューション) 取締役社長などを歴任。2019年4月に執行役常務、サービス&プラットフォームビジネスユニット COO、日立グローバルデジタルホールディングス(現日立デジタル) 取締役会長、日立ヴァンタラ 取締役会長、2020年4月には執行役専務、サービス&プラットフォームビジネスユニット CEO、日立グローバルデジタルホールディングス(現日立デジタル) 取締役会長兼 CEO、日立ヴァンタラ 取締役会長兼 CEOに就任。2021年4月には代表執行役 執行役副社長(現職)となり、社長補佐(システム&サービス事業、ディフェンス事業担当)、システム&サービスビジネス統括責任者兼システム&サービスビジネス統括本部長兼社会イノベーション事業統括責任者、日立グローバルデジタルホールディングス 取締役会長兼 CEOを務めた。

 現在の3セクター体制となった2022年4月からは、デジタルシステム&サービス(DSS)セクタートップであるデジタルシステム&サービス統括本部長(現職)に就任した。2021年4月から務める社長補佐の担当分野は年々拡大しており、2024年4月時点で成長戦略、クラウドサービスプラットフォーム事業、デジタルエンジニアリング事業、金融事業、公共社会事業、ディフェンス事業、社会イノベーション事業推進、デジタル戦略担当となっている。特に、成長戦略の社長補佐としては、次期中期経営計画である「2027中期経営計画(2027中計)」の策定にも携わってきた。これまで社長兼 CEOを務めてきた東原氏と小島氏は、いったんCOOを経てからCEOに就任しているが、これはCOOの期間に中期経営計画の策定するためだった。徳永氏は、2024年4月から2027中計の策定に携わっていることもあり、COOを経ずにそのまま社長兼 CEOに就任することになる。

社会イノベーション事業のグローバルリーダーを目指す歩みを加速

 徳永氏は、小島氏が社長兼 CEOを務めた3年間で日立の事業成長や時価総額の拡大をけん引してきたDSSセクターのトップを務めてきたことからITとデジタルのキャリアに焦点が当たることが多い。ただし、2014年4月からのスマート情報システム統括本部長時代には、「エネルギーや鉄道の領域において、IT、OT(制御技術)、プロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業の創生に取り組み、日立グループの幅広い事業ポートフォリオを理解する機会を得た」(徳永氏)としている。2017年4月には日立アプライアンスの取締役社長に就任しており、家電・空調事業の責任者として、デジタル技術の活用や事業体制の刷新を通じてトランスフォーメーションを進めるなど、IT、デジタルにとどまらない経験を積み上げてきた。

左から、取締役会議長 指名委員長の井原氏、徳永俊昭氏、現社長兼 CEOの小島啓二氏 左から、取締役会議長 指名委員長の井原氏、徳永俊昭氏、現社長兼 CEOの小島啓二氏[クリックで拡大]

 徳永氏がトップマネジメントとして日立に大きな成果をもたらしたのが、2021年3月に発表したGlobalLogicの買収になる。徳永氏は「約1兆円というかつて経験したことのない規模のM&Aに取り組んだことは、私のビジネスパーソンとしての覚悟を醸成してくれた」と語る。なお、日立の成長をけん引するデジタルソリューション群「Lumada」の事業は、GlobalLogicの買収以降グローバルでの成長を加速しており、全社売上高に占める割合は2024年度末に3割に達する見通し。中長期的には全社売上高の過半を占めることを目指しているという。

 徳永氏は「現在策定している次期中期経営計画においては、デジタルをコアにして『真のOne Hitachi』を実現し、社会イノベーション事業のグローバルリーダーを目指す歩みを加速していく。具体的には、Lumadaをより進化させること、グローバル各地域での成長機会の探索を強化すること、そして、One Hitachiで新規事業を創生する取り組みを加速することにより、日立グループの持続的な成長を実現する」と述べている。

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