日立製作所が2021年度決算と2022〜2024年度の中期経営計画「2024中期経営計画(2024中計)」を発表。2024中計の財務目標は、売上高が10兆円にとどまるものの、新たな利益指標として取り入れるAdjusted EBITA率で2021年度の8.3%から12%に伸ばすなど利益率を大幅に伸ばしていく計画である。
日立製作所(以下、日立)は2022年4月28日、オンラインで会見を開き、2021年度(2022年3月期)決算と2022〜2024年度の中期経営計画「2024中期経営計画(2024中計)」を発表した。2021年度連結業績は、売上高が前年度比18%増の10兆2466億円、調整後営業利益が同49%増の7382億円、当期利益については同16%増の5834億円となり過去最高を達成した。一方、2024中計の財務目標は、上場子会社の再編が進んで減収となり売上高が10兆円にとどまるものの、調整後営業利益に替えて新たな利益指標として取り入れるAdjusted EBITA(調整後営業利益−買収に伴う無形資産などの償却費+持ち分法損益)率で2021年度の8.3%から12%に伸ばすなど利益率を大幅に伸ばしていく計画である。
日立は、今回の決算と2024中計の発表に合わせて、これまで保有していた日立物流の39.91%の株式を全て売却し、持ち分法対象から外すことを明らかにした。日立物流については、米国投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)がTOB(株式公開買い付け)を実施しており、日立は日立物流の親会社となるKKR傘下の企業に10%出資する形で、これまで構築してきた事業連携は維持することになる。日立物流株式の売却金額は約2220億円、KKR傘下企業への10%出資の金額は100億円で、売却益は約2120億円となる。日立 執行役社長兼CEOの小島啓二氏は「これまでの中計で社会イノベーション事業に適した事業構造を作る中で、本日の日立物流株式の売却により、上場子会社の再編は一区切りがついた。これを受けて、2024中計のテーマは成長へのモードシフトになる」と語る。
これまでの日立の事業は、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5セクターと、ホンダとの合弁で車載システム事業を手掛ける日立Astemo、上場子会社から構成されていた。2024中計からは、エネルギーとモビリティの鉄道BU(ビジネスユニット)からなる「グリーンエナジー&モビリティ」、ITから名称を変更する「デジタルシステム&サービス」、インダストリーとライフにモビリティのビルシステムBUが加わる「コネクティブインダストリーズ」の3セクター、そして日立Astemoで事業を推進していくことになる。
これらの2024年度の財務目標は、グリーンエナジー&モビリティが売上高2兆6000億円、Adjusted EBITA率10%、ROIC(投下資本利益率)8%、デジタルシステム&サービスが売上高2兆6000億円、Adjusted EBITA率15%、ROIC10%、コネクティブインダストリーズが売上高3兆2000億円、Adjusted EBITA率13%、ROIC13%、日立Astemoが売上高2兆円、Adjusted EBITA率9%、ROIC11%となっている。
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