ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズと、長谷工コーポレーションは、柔らかいロボット「umaru」の効果を検証する実証実験を実施した。
ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズと、長谷工コーポレーションは、柔らかいロボット「umaru」の効果を検証する実証実験を実施した。期間は2024年11月22日〜12月13日で、umaruの設置場所は長谷工コーポレーションが「共創型レジデンス」として運営する賃貸マンションのコムレジ赤羽(東京都北区)だ。umaruをブリヂストンの社外に設置するのは今回が初めてだという。
umaruはゴム製の人工筋肉を編み込んだハンモックで、深呼吸のようなリズムでゆっくりと弛緩と収縮を繰り返す。人工筋肉はゴムチューブとスリーブで構成されており、チューブ内に空気を送って加圧することで収縮する。また、ゴムチューブとスリーブの間に薄い金属板を入れることで、指のように湾曲する動きにも対応できる。
umaruの上にあおむけで寝ている人間は包まれながら沈んでいくような感覚が得られる。1回の利用時間は数分間。頭上の視界はひさしで遮られており、umaruの動きに意識を集中させてリフレッシュすることを狙いとしている。
コムレジ赤羽の総戸数は340戸で、内訳は社会人棟が168戸、学生棟が112戸、賃貸棟が60戸となっている。一般的な賃貸マンションと同様の間取りの賃貸棟だけでなく、共有設備のキッチンやリビングで他の入居者と交流する前提の学生棟や社会人棟を用意していることが特徴だ。学生棟は1戸14m2、社会人棟は1戸16m2でコンパクトだ。ラウンジやカフェテリアなどの共有設備を充実させるだけでなく、イベントやワークショップなど入居者が集まる機会も提供している。
umaruを設置したのは、社会人棟の中にあるコワーキングスペースを兼ねたラウンジだ。社会人棟は企業が複数戸を社宅として借りている。コムレジ赤羽に入居する同僚との交流や、社会人棟に入居する他社の若手社員とのコミュニケーションも期待し、既存の社員寮などとは異なる位置付けで企業が社宅として用意しているようだ。
ラウンジは1階にあり、各戸に行き来するエレベーターを利用するときの通り道にもなっている。ブリヂストンのソフトロボティクス ベンチャーズは、社会人棟の入居者が出社前や帰宅時、ラウンジでのテレワーク中などにumaruを使ってもらうことを狙って設置した。umaruによるリフレッシュやストレス解消の他、umaruを使った感想を誰かに伝えたくなるなどラウンジ内のコミュニケーション促進も目的とした。
利用状況は2024年11月22日〜12月7日までの合計で130回に上った。1日平均8回の利用があった。平日は夜の帰宅時、週末は昼ごろと夜に利用が多い結果だった。リピーターもいたという。利用者34人を対象にアンケートをとったところ、95%がリフレッシュ効果を感じたと回答した。また、80%がストレス解消効果を感じたとしている。さらに、55%が「リフレッシュしたことで誰かと話したくなるような感覚があった」と回答したという。
検証の結果、「心が和らぐというumaruの体験価値を確認」(ブリヂストン)するとともに、「人々をつなげる効果の可能性」(同)にも手応えがあったという。
ブリヂストンのソフトロボティクス ベンチャーズは、B2Cのウェルビーイング市場向けにumaruの他にも「Morph」という柔らかいロボットを持っている。どちらも共通してゴム製の人工筋肉を使用する。この人工筋肉はロボットハンドでも活用されており、繊細なものをロボットハンドで壊さずつかめるようにすることで人間との協働作業を深化させる考えだ。人工筋肉を太くすることで上に人が寝ても支えられる強度を持たせ、ウェルビーイング市場に応用した。
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