通期の業績見通しは、上方修正した。営業収益が前回の予想から5兆円増の43兆円(前年度比15.7%増)、営業利益が1兆5000億円増の4兆5000億円(同65.1%増)、当期純利益が1兆3700億円増の3兆9500億円(同61.1%増)を計画している。想定為替レートは1ドル=125円から141円に、1ユーロ135円から152円に見直した。
営業利益を上方修正した内訳は、想定為替レートを円安方向に見直したことで1兆1800億円のプラスだが、為替・スワップの影響を除いても3600億円の増益要因を生み出す。資材高騰の影響が改善に向かっていることや、商品構成の改善、海外を中心とした価格改定が貢献する。
なお、前年度比では1兆7750億円増の増益となるが、為替レートが異なるため為替変動のプラス影響は3050億円で、残りの増益要因は為替やスワップの影響を除いた部分が大半だ。資材高騰4100億円、諸経費の増加3700億円といった減益要因を、原価改善3600億円、販売面の改善1兆6500億円で吸収した。
為替についてトヨタ自動車 経理本部 本部長の山本正裕氏は「円安がプラスになるところもマイナスになるところもあるので、円安がいい、円高がいいということはなく、安定的に推移することが大変ありがたい」とコメントした。
資材高騰が円安でさらに負担を増しているだけでなく、エネルギーコストの増加や賃上げなども仕入先の経営に影響を与えている。トヨタ自動車は仕入先に対してこれらの費用に相当する部分を支払ってきた。まずはティア1サプライヤーにこうした支払いを続けることで、ティア2サプライヤー以降にも負担軽減を広げていきたい考えだ。
日本自動車工業会(自工会)や日本自動車部品工業会(部工会)とも協力して、ティア2以降のサプライヤーとの連携を強化し、仕入先への還元だけでなく電動化への対応やカーボンニュートラルに向けた活動などの課題解決に取り組むとしている。また、物流費についても輸送会社に値上げを交渉し、ドライバーへの還元につなげていく。
2024年3月期通期(2023年度)の連結販売台数やトヨタ・レクサス販売台数の見通しは据え置いた。中国やタイ、ベトナムなどの市場が不透明であることから減少を見込む一方で、北米やその他地域は市場が堅調で、欧州は供給回復が予測されるため、通期の連結販売台数としては960万台の予想を維持する。トヨタ・レクサス販売台数は1040万台、グループ総販売台数は1138万台で据え置いた。
電動車の小売台数は前回の見通しから0.7%増の386.8万台で微増となる。HEVが前回予想比2.9%増の359.8万台、PHEVが同2.9%増の14.1万台と増加する一方で、EVが同39.1%減の12.3万台、FCVが同37.5%減の0.5万台に引き下げた。中国市場でのEV販売減少を織り込んだ。
“もっといいクルマづくり”を土台にしたTPS(トヨタ生産方式)や原価低減による体質強化、グローバルでのユーザーとの接点を維持/拡大、新興国でのHEVやPHEVの拡販といった事業基盤の強化を土台に、稼ぐ力を強化する。その稼ぐ力が将来への投資を加速させ、EVや水素事業の競争力向上、ソフトウェアやエネルギーを軸にした事業の創出など事業領域の拡大につながるとしている。
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