三菱自動車は中国事業の構造改革を進めることを決めた。
三菱自動車は2023年10月24日、同日開催の取締役会において中国事業の構造改革を進めることを決めたと発表した。これに伴い、2024年3月期の連結決算において構造改革関連費用243億円を特別損失として計上する。発表済みの業績予想に一定程度織り込んでいるため、見通しの変更はないとしている。
構造改革では、中国における三菱ブランドの車両の現地生産を終了する。広州汽車と三菱商事、三菱自動車による合弁会社の広汽三菱汽車については、三菱自動車と三菱商事の持ち分を広州汽車に譲渡。広汽三菱汽車は広州汽車の100%出資となり、生産機能は広州汽車傘下のEV(電気自動車)ブランドAionで継続して活用する。販売済みの車両のアフターサービスは、広州汽車と三菱商事、三菱自動車が協力し継続して提供する。
中国事業の構造改革の背景について、三菱自動車は中国の自動車市場の急激な変化を挙げた。電動車への移行が予想以上に加速し、消費者によるブランドや車両セグメントの選び方にも急速に大きな変化が起きているという。三菱自動車は2022年12月に新型車を投入するなど販売を挽回しようとしたが計画未達が続き、2023年3月からは在庫調整のため工場の稼働を停止していた。
中国市場で苦戦するのは三菱自動車だけではない。日産自動車は2023年度の中国での小売販売台数について、見通しを当初の予想から約3割減に下方修正した。中国の現地ブランドが展開する新エネルギー車(NEV)がシェアを伸ばす代わりに、外資系自動車メーカーの合弁企業が販売するNEV以外のモデルがシェアを落としているという。トヨタ自動車は中国での価格競争の激化で販売費用が増加し、中国事業の利益を押し下げている。
中国での生産台数も振るわない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策としてロックダウン(都市封鎖)が実施された2022年と比べても低調で、中国での2023年1〜6月の生産台数はトヨタ自動車が前年同期比7.6%減、ホンダが同12.3%減、日産自動車が同25.2%減となっている。マツダは現地企業への生産委託を2023年4月で終了するなど生産体制の再編に乗り出している。
三菱自動車は同日、ルノーグループが設立するEVやソフトウェアの新会社アンペアに最大2億ユーロ(約318億円)を出資すると発表した。電動化の加速に向けた新型車開発や、ルノー/日産自動車とのアライアンスと連携を強化する取り組みの一環だ。アンペアとの協業により、アンペアから欧州市場向けのEVのOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける。
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