日本能率協会が「2023年度 新入社員意識調査」の結果を発表した。79.0%が「仕事について丁寧な指導をする上司、先輩」が理想と考えており、78.4%が「会社の将来性が見込めなくなったときに転職を考える」と回答した。
日本能率協会は2023年10月3日、「2023年度 新入社員意識調査」の結果を発表した。同調査の対象者は、同協会の新入社員向け公開教育セミナー参加者で、675人から回答を得た。
初めに、理想的だと思う上司や先輩について尋ねたところ、「仕事について丁寧な指導をする上司、先輩」(79.0%)が最も多かった。これを最終学歴別や性別で見ると、全体の第2位だった「言動が一致している上司、先輩」は、高校卒群が39.2%、高校卒外(高専、専門、短大卒以上)群が59.0%だった。また、全体の第3位だった「部下の意見、要望を傾聴する上司、先輩」は高校卒群が39.2%、高校卒外群は50.6%だった。
全体の第5位「仕事だけでなく、プライベートも大事にする上司、先輩」は、男性の回答割合が38.1%、女性は52.1%となっており、女性がより重視している傾向が見られた。
次に、仕事をしていく上での不安を尋ねた。1位は「上司、同僚など職場の人とうまくやっていけるか」(68.6%)、2位「仕事に対する現在の自分の能力、スキル」(65.6%)、3位「仕事での失敗やミス」(50.7%)となった。
性別で見ると、1位の「上司、同僚など職場の人とうまくやっていけるか」は、男性が67.8%、女性は69.7%と男女で差はなかった。2位の「仕事に対する現在の自分の能力、スキル」は男性が60.4%、女性が73.8%、3位の「仕事での失敗やミス」は男性が45.2%、女性が59.2%となっており、女性に不安が多い傾向が見られた。
仕事をしていく上で抵抗がある業務の1位は、「上司や先輩からの指示が曖昧でも、質問しないで取りあえず作業を進める」で、「抵抗がある」(41.3%)、「どちらかといえば抵抗がある」(42.4%)を合わせて、83.7%が抵抗を感じていた。抵抗を感じる割合を学歴別に見ると、高校卒群は81.4%、高校卒外群84.7%となっており、指示の明確さが全体的に求められているようだ。
その他の「知らない人、取引先に電話をかける」「初対面の人と雑談をする」などの項目は全て、高校卒群の「抵抗がある(どちらかといえばを含む)」のポイントが、高校卒外群を上回っていた。これは、高校卒外群の方が学生生活やアルバイトなどの経験年数が多く、抵抗感が抑えられているためと考えられる。
続いて、新入社員自身の仕事、働き方に対する考え方について調べた。「A.定年まで1つの会社に勤めたい」「B.機会があれば転職、独立したい」のどちらが当てはまるか尋ねたところ、「Bに近い」「どちらかというとBに近い」を合わせた全体の回答割合は30.1%となった。
学歴別に見ると、「Bに近い(どちらかというとを含む)」割合は、高校卒群が20.6%、高校卒外群が34.0%となっている。
職場で遭遇するかもしれないシチュエーションに対し、遭遇した際に考えることを尋ねたところ、78.4%が「会社の将来性が見込めなくなったときに転職を考える」と回答した。次いで、「社風や企業文化が自分に合わないと感じたときに転職を考える」が72.4%、「昇給が見込めないときに転職を考える」は59.0%となっている。
また、将来の日本社会はどうなっていると思うかについて、「A.未来の日本社会は明るいイメージ」か「B.未来の日本社会は暗いイメージ」かを尋ねた。その結果、全体の65.8%が「B.未来の日本社会は暗いイメージ」と回答した。内訳は「Bに近い」が18.4%、「どちらかというとBに近い」が47.4%となっている。
学歴別に見ると、高校卒群の50.8%、高校卒外群の72.0%が「B.未来の日本社会は暗いイメージ(どちらかというとBに近いを含む)」と回答。高校卒外群は未来に対して、より悲観的なイメージを持っていることが明らかになった。
これから仕事をしていく上で強化したいと思う点(能力、スキル、資質)は、1位が「学習能力(他者や経験から学ぶ力)」(62.8%)、2位が「自分の意見を分かりやすく伝える力」(52.7%)、3位「物事に進んで取り組む力」(49.2%)だった。
項目によっては属性で差が見られた。「自分の意見を分かりやすく伝える力」は、男性が46.4%、女性が62.5%と16.1ポイント差があった。「課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力」は高校卒群が15.6%、高校卒外群が32.4%と16.8ポイント差があった。
最後に、「AIをはじめとするデジタル技術の進化と自身の職業人生の関係性」について尋ねた。その結果、「プラスになる」が40.3%、「どちらかといえばプラスになる」が49.9%となり、プラスになるが90.2%を占めた。この傾向は、学歴別でもほぼ同様だった。
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