パナソニック オペレーショナルエクセレンスは、オンラインで会見を開き、人材開発を目的とした施設「モノづくり研修所」の取り組みを発表した。
パナソニック オペレーショナルエクセレンスは2023年10月11日、人材開発を目的とした施設「モノづくり研修所」の枚方地区拠点(大阪府枚方市)とオンラインで会見を開き、同所の概要やモノづくり人材育成への思い、グループモノづくり競技大会について説明した。【訂正あり】
モノづくり研修所は、同社の人事部門が運営する施設で、82教室/定員1300人の研修室と177室の宿泊施設を設けた枚方地区研修施設(大阪府枚方市)や高度技能開発道場(大阪府門真市)で構成される。
同所では、同社の組織/人材開発センターとともに、パナソニックグループの事業会社であるパナソニック、パナソニック エナジー、パナソニック オートモーティブシステムズなどのモノづくり部門に所属する人材にモノづくりの基礎と専門の教育を行っている。加えて、各事業会社のモノづくり部門から現場の意見を集約し、モノづくりの基礎と専門の教育に反映している。
これらの教育には、パナソニックホールディングス 技術部門のモノづくり戦略や全社モノづくり責任者会議での決定事項、同社 オペレーション戦略部がまとめた現場改善案「パナソニック現場カイゼン道」も使う。このようにさまざまな事業会社などと連携して行う教育を「ネットワーク型の人材育成」とパナソニック オペレーショナルエクセレンスでは呼称している。
モノづくり人材育成への思いでは人材育成に対するモノづくり研修所の考え方に触れられた。モノづくり研修所 所長の廣田亮治氏は「人材の能力と可能性を引き出すことが『人を生かす』ことだと考えている。人を生かすために、各事業会社では人材戦略と事業戦略を組み合わせて人材育成を行っている。しかし、個社では解決できない人材育成の問題もある。そこで、モノづくり研修所ではその問題を解決するとともに、個人を強化するパナソニックグループの共通施策の構築を支援している。これらにより個と組織をつなぎ合わせて、グループの力を最大化させている」と話す。
さらに、商品開発を行うエンジニアリングチェーンと仕入れから顧客までの流通を担うサプライチェーンで構成されるバリューチェーンを鍛えるモノづくり人材の育成に注力している。そのために、各事業会社のモノづくり人材に対して、技術/技能に加えて、自律して考え行動できる「自律考動」の研修を行っている。
【訂正】初出時に、自律考同と掲載していましたが正しくは自律考動です。お詫びして訂正致します。
具体的には、バリューチェーンの教育では、入社5年までの一般社員(班長を含む)層向け、管理者(課長/係長)層向け、経営者(工場長、海外製造会社社長)層向けのカリキュラムを用意している。
一般社員層向けのカリキュラムでは、バリューチェーンの基礎、技術、技能の習得と実践を支援する。「このカリキュラムが最重要と考えており、商品設計、品質/原価のつくり込み、工法/工程設計、IoT(モノのインターネット)について学べる研修、モノづくり基盤研修、生産革新研修を提供している。これらの研修は標準モジュールプールと呼称しており、開発系、製技系、製造系の3種類に区分し、初級〜上級のカリキュラムを用意している」(廣田氏)。一般社員層の中でも、1990年代後半以降生まれでおおむね20歳代前半となるZ世代の研修では自律考動の訓練を中心に研修に行っているという。
管理者層向けでは、バリューチェーン全体の俯瞰(ふかん)や最適化をサポートし、ボトルネックの抽出と課題の解決を促す。経営者層向けでは、未来を作る革新的な取り組みの企画作成と推進を支援する。
また、モノづくり研修所の基盤研修やパナソニックグループ独自の研修制度であるものづくり大学校、高度技能開発道場の研修、パナソニックモノづくり競技大会により、新入社員をテクノロジスト(技能者)に育て、その後、モノづくり系新任主務研修、次世代幹部開発研修、工場長/海外会社社長経営研修を通して工場長に育成することを目標の1つとして掲げている。
グループモノづくり競技大会はモノづくりに携わるパナソニックグループの社員の技能向上/開発を図り、同グループのモノづくり強化に貢献することを目的に1962年にスタートした。2023年10月25日に大阪府枚方市内で開催される第58回 パナソニックグループ モノづくり競技大会では、国内外予選の成績上位入賞者が一堂に会す。出場者数は620人で、CADやセル生産などの35種目のAランク競技と設備保全をはじめとする14種目のBランク競技から成る49種目が行われる。
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