富士通とAtmoniaは、クリーンなアンモニア合成の触媒探索の共同研究において、Atmoniaの触媒に関する見識と、富士通の量子化学シミュレーションおよびAI技術を生かし、比較的安価な触媒材料候補を発見した。
富士通は2023年10月3日、同社の量子化学シミュレーションを活用し、アンモニアをクリーンに合成するための比較的安価な触媒材料候補を同年5月に発見したと発表した。アンモニアの合成手法を開発するAtmoniaとの共同研究による成果で、高価な貴金属以外の有力候補となる。
両社は2022年に共同研究を開始している。まず、約2400種類の触媒条件の組み合わせを候補として選定した。全ての候補に対して、約1万8000件の量子化学シミュレーションを高速で実行し、高効率にアンモニアを合成できる安価な触媒を探すためのシミュレーションデータを収集した。
次に、Atmoniaの触媒に関する見識を活用し、アンモニア生成反応が起こりやすい窒素を水素よりも優先して吸着するか、合成時にかかるエネルギーが低いかなど、有力な触媒候補としての選定基準を設定し、触媒の組み合わせを絞り込んだ。
その結果、相対的に安価な酸化モリブデンの一部をタングステンで置換した非貴金属の組み合わせが、新たな触媒材料の有力候補であることが分かった。
今回発見した触媒材料候補は、アンモニア生成の効率が高く、生成時に使用する電力エネルギーが低い。そのため、常温常圧で水、空気および電気からアンモニアを合成する技術の実用化に向けて一歩前進した。
今後両社は、新たに発見した触媒材料候補の有効性について実験を通じて検証する。
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