「品質に関する力について落ちていると感じていますか」という質問については、「落ちている」が39.5%、「変わらない」が35.1%、「上がっている」が9.6%、「分からない」が15.8%と、「落ちている」と「変わらない」が拮抗する結果となった。
これらの「品質の力」についてもそれぞれの回答の理由についてフリー回答で答えてもらっている。
品質が「落ちている」とした理由については、最も多かったのが「人材不足」だ。さらに、それに伴う「技能不足」「技能伝承」の問題などを挙げた回答も多かった。主なコメントを以下に紹介する。
日本の労働人口そのものが大幅な減少へと向かっていく中、品質に関わるところだけでなくあらゆる現場で人手不足はさらに深刻化していくことは明らかだ。こうした中でノウハウをいかに確保しつつ、品質を保っていく難しさがある。そうした苦しみが既に現場では顕在化しているといえる。
また、その他の要因としては、業務プロセスの余裕のなさや製品の複雑化などを要因として挙がっている。加えて、外部の要求レベルが上がっているために、相対的に品質を維持する力が落ちているとする声も多かった。
現場に対して、さまざまな要求が高まる一方の中で、人材面やプロセス面、技術面での余裕もなくなり、現場への負担度が高まっている現状が見えてくる。
一方で、品質が「上がっている」とした理由については、品質に関する体制を強化する施策を、着実に打っていることを挙げる声が多かった。
品質が「落ちている」とした理由として挙がった「余裕のなさ」に対し、組織や体制として品質向上に対する施策を打っているところが大きな違いを生み出している。要求レベルが厳しくなる中、現場任せの改善だけではなく、体制として現場をサポートする仕組み作りが重要だといえるだろう。
ただ一方で、こうした「仕組み作り」が、現場の「困りごと」につながっている面も生み出している。「品質についての悩みごとや困りごとはありますか」という質問についてフリー回答で答えていただいたが、その中で多く挙がったのが「品質におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT(モノのインターネット)の推進方法」だった。
IoTやAI(人工知能)、DXは、別質問で聞いた「品質に関する注目キーワード」でも上位に挙がってきたものだが、実際にはどのように使いこなすべきかというところで多くの現場は苦しんでいる。こうしたデジタル技術に関するノウハウも含めて、体制を用意していくことが重要になってくるだろう。
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