東北大学は、発酵米糠の摂取が炎症性サイトカインの発現を制御し、病的な破骨細胞形成と骨吸収を抑制することを発見した。骨粗鬆症や歯周病など、食による病的な骨破壊抑制や予防につながることが期待される。
東北大学は2023年7月31日、発酵米糠の摂取が炎症性サイトカインの発現を制御し、病的な破骨細胞形成と骨吸収を抑制することを発見したと発表した。骨粗鬆症や歯周病など、食による病的な骨破壊抑制や予防につながることが期待される。
発酵米糠は、米糠を麹(こうじ)かびと乳酸菌混合物の2段階で発酵させ、殺菌、ろ過後に凍結乾燥させて開発。発酵米糠食とコントロール食をマウスに食べさせ、1週間後に炎症を誘導するリポポリサッカライドを投与して破骨細胞を形成させた。その結果、発酵米糠食を摂取したマウスは、コントロール食を摂取したマウスに比べて破骨細胞形成と骨吸収が抑制された。
また、発酵米糠食を摂取したマウスは、炎症性サイトカインTNF-αの発現が低下していた。TNF-αは、骨を吸収する破骨細胞形成を誘導することが知られている。
マウスの骨髄細胞を用いた実験では、発酵米糠抽出物が炎症刺激で誘導される破骨細胞形成を抑制することが確認できた。これにより、発酵米糠の成分が、破骨細胞形成を直接抑制できることが示された。
今後は、病的な骨吸収を伴う疾患の実験モデルを用いて発酵米糠の効果を検証し、実用化を目指すとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.