本連載では、「デジタルツイン×産業メタバースの衝撃」をタイトルとして、拙著の内容に触れながら、デジタルツインとの融合で実装が進む、産業分野におけるメタバースの構造変化を解説していく。
本連載では、「デジタルツイン×産業メタバースの衝撃」をタイトルとして、拙著『メタ産業革命〜メタバース×デジタルツインがビジネスを変える〜』(日経BP/2022年10月20日出版)の内容に触れながら、デジタルツインとの融合で実装が進む、産業分野におけるメタバースの構造変化を解説していく。
近年、あらゆる産業領域で「メタバース」と「デジタルツイン」の融合によるメタ産業革命が進展している。メタバースとは、「アバターを介して相互交流することができる3次元仮想空間」を指す。メタバースの例としては、バーチャル空間上で複数人が自分のアバターを介して共同作業ができるようになる、メタ(旧Facebook)が提供している「Meta Horizon Workrooms」や、渋谷をメタバース化した取り組みである「バーチャル渋谷」などが挙げられる。
一方、デジタルツインは現実世界に存在する物体にそっくりな“双子”をデジタル空間上に再現し、可視化やシミュレーション、機器の制御などの最適化などに活用するための技術を指す。
産業においては3D設計データや、IoT(モノのインターネット)のセンシングデータに基づいたデジタルツインの活用が進んできた。アポロ13号で活用されたコンセプトが源流でドイツが提唱する製造業のデジタル革命「インダストリー4.0」において、デジタルツイン活用はCPS(Cyber Physical System)による産業革命と定義されている。この動きが産業、都市の幅広い領域に広がってきており、下図が製造業や建設業、インフラ管理、農業、スマートシティー(都市)におけるデジタルツイン活用の一例だ。
現在、可視化やシミュレーション、分析、最適化に重きを置くデジタルツインと、共創、コミュニケーションを実現するメタバースが融合/補完し合うことで、産業/都市に大きな変革をもたらすようになってきている。現実世界を再現したデジタルツインをメタバース空間の要素に取り入れてコミュニケーションに活用する。あるいは、メタバース空間で共創したものをデジタルツインに取り入れ、現実空間の変化とリンクさせるなどの使い方が出てきている。双方の技術の垣根が低くなってきているのだ。
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