東洋製罐グループホールディングスは、「インターフェックスWeek東京2023」で、65万個のスフェロイドを培養できる「大型ウェルバッグ」を披露した。
東洋製罐グループホールディングスは、「インターフェックスWeek東京2023」(2023年7月5〜7日、東京ビッグサイト)内の「第5回 再生医療EXPO 東京」に出展し、スフェロイド(細胞凝集塊)形成用の閉鎖系培養バッグ「ウェルバッグ」とその大型サイズとなる「大型ウェルバッグ」、接着細胞用の閉鎖系培養バッグ「接着細胞培養バッグ」を披露した。
ウェルバッグは、同社が開発し既に販売している製品で、iPS細胞などのさまざまな細胞から均一なスフェロイドを効率良く培養、形成、回収できる世界初の閉鎖系培養バッグだという(同社)。同社の説明員は「最大の特徴はバッグの内部の底面に細胞非接着の微細で均一な円形断面の凹部(ウェル)を1万8000個設け、直径10cmのシャーレと同じ培養面積を確保している点だ。そのため、細胞懸濁液(培養中の細胞あるいは微生物を液体媒質中に懸濁させたもの)をウェルバッグに注入すると、各ウェルに細胞懸濁液のシングルセル(単一細胞)が配置される、そのウェルバッグをインキュベーター(温度を一定に保つ機能を持つ培養器)に格納し培養後、各ウェルでほとんど同じ径のスフェロイドが形成される」と話す。
加えて、優れたガス透過性を持つフィルムを材料に活用しているため、ウェルバッグ内の細胞の状態を保てる他、ウェル内で生じる気泡を簡単に除去できるようになっている。さらに、専用ホルダーにウェルバッグを装着することで持ち運び時のスフェロイドの移動を抑えられ、顕微鏡で観察も行える。
一方、同社が開発を進める大型ウェルバッグはウェルバッグの20倍の培養面積を備え、機能性も販売中のウェルバッグと同等だという。同社の説明員は「大型ウェルバッグは内部に微細で均一な円形断面のウェルを65万個設けている。また、標準的なインキュベーターに入るサイズにもなっている」と語った。
接着細胞培養バッグは、同社が開発中の製品で、バッグの内部に接着細胞を高密度培養可能な微細凹凸加工を施している。これにより、微細凹凸加工がないバッグと比べて培養面積が3倍になっているという。材料にはウェルバッグと同様に高ガス透過性フィルムを採用し、内面には接着細胞に適した表面処理加工を行っている。同社の説明員は「接着細胞培養バッグは当社が開発中の『培地交換システム』に対応する製品だ。培地交換システムは培養バッグ内の培地を自動で交換できるため作業負荷を減らせる」とコメントした。なお、同社では接着細胞培養バッグと比べ20倍の培養面積を備えている大型サイズの開発も進めているという。
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