「製造業」の立ち位置はどう変化した? データで読む先進国の産業構造転換イチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(2)(3/5 ページ)

» 2023年07月12日 06時00分 公開

生産性は高いけれど、労働者が減少している製造業

せっかく経済活動別の国内総生産と就業者数のデータがあるので、就業者1人当たりの国内総生産を計算してみましょう。


つまり、経済活動別の平均的な生産性を計算するということですね。


その通りです。ただし、就業者数にはパートタイマーなども含まれますので、参考程度に考えた方が良いかも知れませんね。


図5:経済活動別の就業者1人当たり国内総生産[クリックして拡大] 出所:内閣府の国民経済計算から筆者作成

※不動産業については国内総生産に持家の帰属家賃が含まれていて過大な数値となるため除外。

製造業は1人当たり年間1000万円以上の付加価値を生み出している事になりますね。平均値を境にして、生産性の高い経済活動と低い経済活動が分かれています。


そうです。先ほどの就業者数のグラフと照らし合わせながら見てほしいのですが、平均値よりも生産性の高い経済活動は、製造業以外は比較的就業者数の少ない産業ばかりです。


本当ですね! しかも、そのほとんどの就業者数が横ばい傾向です。製造業は生産性が高いですが、労働者数も国内総生産も減ってしまっていますね。


その通りです。そして、労働者数が大きく増えている専門・科学技術、業務支援サービス業や保健衛生・社会事業は比較的生産性の低い産業となっています。実は日本の就業者数や国内総生産は、全体で見れば横ばい傾向が続いているのですが、実際の中身はこのような変化を伴っているわけです。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.