エアコンのモデリング(その1) 〜エアコンの作動原理を理解する〜1Dモデリングの勘所(20)(4/5 ページ)

» 2023年06月12日 09時00分 公開

カルノーサイクル

 1824年にカルノーが、現在「カルノー機関」として知られている理論的な熱機関を提唱した。図5にカルノー機関の熱サイクルを示す。

カルノー機関 図5 カルノー機関[クリックで拡大]

 カルノー機関の熱サイクルは以下の4段階からなる。ピストンの位置(A、B、C、D)の移動方向ごとに説明する。

  1. [A→B]:温度Thighにおける等温膨張解である。気体は温度Thighの熱源に接触しており、シリンダ底部から熱エネルギーQhighを吸収し、ピストンが上に移動する際に仕事WABを行う
  2. [B→C]:シリンダ底面は断熱壁で気体は断熱膨張する。この過程で温度はThighからTlowに下がり、気体はピストンが上がる際に仕事WBCを行う
  3. [C→D]:気体は温度Tlowの熱源に接触しており、温度Tlowで等温圧縮される。このとき、気体は熱源にQlowを放出し、ピストンは気体に対して仕事WCDを行う
  4. [D→A]:シリンダ底面は断熱壁で気体は断熱圧縮される。この過程で温度はTlowからThighに上がり、ピストンは気体に対して仕事WDAを行う

 カルノーが示したことは、2つの熱源の間で理想的な可逆サイクルで動く熱機関は、原理的に最高の効率を有するということで、このサイクルを「カルノーサイクル」(図6左図)という。この理想的熱機関が、全ての熱機関の効率の上限を与える。カルノーサイクルを逆に回すと「逆カルノーサイクル」(図6右図)となる。カルノーサイクルと逆カルノーサイクルは、熱機関とヒートポンプに相当する。

カルノーサイクルと逆カルノーサイクル 図6 カルノーサイクルと逆カルノーサイクル[クリックで拡大]

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