コンカレント開発により、リードタイムを低減し、フレキシブルな開発体制を構築した上で、取り組んでいるのが、顧客企業などととの共創だ。新価値創造を進めていくためには、トライ&エラーをより早く回転させることが重要になるが、そのためにはまず新たな製品をより短い時間で形にし、検証を進めてフィードバックを得ることが重要になる。新体制によるリードタイム削減を生かしながら、より多くの企業との共創により、新たな製品の事業化を推進していく。
共創への取り組みで既に形になってきているものの1つのが、ユビ電とのEV充電サービスに向けた取り組みだ。ユビ電は集合住宅や店舗などに向けてEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)向けの充電サービス「WeCharge」を展開しているが、よりコンパクトで手軽な充電設備の検討を進める中で、オムロンとの共創を行うことにしたという。オムロンは電力の供給管理とオン/オフを行う機能を持つEV充電スマートプラグモジュールを提供する。オムロンとユビ電では、このEV充電スマートプラグモジュールを搭載したEV充電コンセントとユビ電の「WeCharge」を岡山事業所に設置しサービス検証を2023年6月1日〜2024年3月31日までの期間で行うとしている。
ユビ電 代表取締役の山口典男氏は「EVの充電環境を広げていくためにはよりコンパクトな充電コンセントの普及が必要だと考えた。オムロンもモジュールを活用することで充電コンセントの小型化が可能となる」と述べている。
その他、フジテックとの共創で開発した非接触ハイブリッドエレベータースイッチや、ウェザーニューズとの共創で開発を進めている新しい気象センサーなどが既に進行中だという。辻本氏は「既存の顧客からの話が多いが徐々に広がっている。海外の顧客との共創の話も出ている。これらを増やしつつ新たな価値創出を進めていく」と語っている。
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