金型データや環境対応部品で新たなビジネスを、オムロンの新たな電子部品戦略オムロンの電子部品戦略(前編)(1/2 ページ)

オムロンは、電子部品事業の戦略説明会を開催するとともに、研究開発部門を集約した岡山事業所を公開した。本稿ではまず前編として部品事業戦略について紹介する。

» 2023年06月05日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 オムロンは2023年6月1日、電子部品事業の戦略説明会を開催するとともに、研究開発部門を集約した岡山事業所を公開した。まず前編として部品事業戦略について紹介する。後編では、岡山事業所の位置付けとコンカレント開発の推進について紹介する。

電子部品事業でもソリューション型ビジネスを

 オムロンでは2022年3月に、2030年をターゲットとした長期ビジョン「Shaping the Future 2030」を発表しているが、その中で電子部品事業についても新たに「我々の“繋ぐ・切る”技術を軸に、顧客と共に社会課題を解決する事業へ」を事業ビジョンとした。従来の電子部品をモノとして顧客に提供するだけでなく、電子部品で培った知見を生かしつつ社会課題解決に向けたソリューション型ビジネスへのシフトを進める。

 解決を目指す社会課題として「カーボンニュートラルの実現」と「デジタル化社会の実現」を位置付け、具体的には「DCドライブ機器」「DCインフラ機器」「高周波機器」「遠隔/VR機器」の4つを注力ドメインとして位置付けている。また、新たな提供価値としては「Green」「Digital」「Speed」の3つの提供を目指す。

photo オムロンの電子部品事業における長期ビジョン[クリックで拡大] 出所:オムロン
photo オムロン 執行役員常務 デバイス&モジュールソリューションズカンパニー社長の江崎雅彦氏

 2022年度(2023年3月期)は構造改革や品質基盤強化、供給力や顧客拡大などの事業基盤強化を推進してきたが、2023年度(2024年3月期)からは、ソリューション型ビジネスへのシフトを本格的に加速させる方針だ。具体的には、「注力4ドメインの拡大と強化」「新たな提供価値による基盤ビジネス強化」「収益構造の強化」に取り組む。

 オムロン 執行役員常務 デバイス&モジュールソリューションズカンパニー社長の江崎雅彦氏は「2022年度は構造改革を中心に取り組み、前年度比14.8%の成長を実現し過去最高の実績を得ることができた。2023年度は事業環境としては不透明なところはあるが、新たな価値を提供することで成長を続けることができる」と語っている。

photo 電子部品事業の2023年度の取り組み[クリックで拡大] 出所:オムロン

再生可能エネルギーの進展で増えるDC機器に対応

 注力4ドメインについては、前年度比108%の成長を目指す。その1つであるDCインフラ機器では、環境負荷対応によるクリーンエネルギー普及で生まれるDC(直流)機器のインフラやそれに伴って必要になるアプリケーションやセンサー群、高容量リレーなどを軸に展開を広げていく。「DC機器は、再生可能エネルギーの使用が広がる中で効率的な電力の活用をするために普及が進むと見ている。一方でDCは安全性の面でACとは異なり気を付ける必要がある部分があり、それに対応する機能や技術が必要になる。これらに対応する機器群やアプリなどを展開する」(江崎氏)。

photo DCインフラ機器の展開[クリックで拡大] 出所:オムロン
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