オムロンは、電子部品事業の戦略説明会を開催するとともに、研究開発部門を集約した岡山事業所を公開した。後編では、岡山事業所の位置付けとコンカレント開発の推進について紹介する。
オムロンは2023年6月1日、電子部品事業の戦略説明会を開催するとともに、研究開発部門を集約した岡山事業所を公開した。前編では部品事業戦略について説明したが、後編では、岡山事業所の位置付けとコンカレント開発の推進について紹介する。
前編では、オムロンの電子部品事業として、従来のモノ売りから社会課題の解決を目的としたソリューション提案へのシフトを進めていることを紹介した。
オムロンの電子部品事業では、リレーやスイッチ、コネクターやセンサーなど、電気のエネルギーや電気信号化した情報を安定的に「つなぐ」「切る」を行う技術を提供している。電気で稼働する全ての機器やインフラで必要な機能を提供し、年間何億ものデバイスに技術を搭載し、社会のあらゆる環境で使われている。こうした技術的な強みを背景としつつ、カーボンニュートラルとデジタル化社会の実現を目指し「直流(DC)化」「電気信号の高周波化」「遠隔操作/モニタリングの普及」の3つの社会変化に貢献する電子部品をソリューション型で提供することを目指している。
オムロン デバイス&モジュールソリューションズカンパニー 事業統轄本部 商品開発統括部 統括部長で経営基幹職の辻本正治氏は「これまでの単機能製品だけを提供するだけでは成長は望めなくなってきている。持っている技術を組み合わせて生まれる新たな価値を発揮し社会課題を解決することが必要になっている」と考えを述べる。
これに合わせて、研究開発体制も刷新した。オムロンの研究開発体制は従来、既存の電子部品製品を開発するのに効率的な体制となっていたが、新たな価値を創造していこうとすると製品ごとに特化した技術の範囲内で検討していても難しい。そこで電子部品事業の全ての研究開発機能を岡山事業所に集約し、培った技術の融合と価値創出の加速を進める。国内の6拠点に分かれていた電子部品事業の研究開発機能を2022年12月から岡山事業所にまとめた。岡山事業所には約300人の技術者が集められたという。
辻本氏は「技術の掛け合わせが重要になる中、6拠点が抱えていた個々に強い技術を集めて、何かを生み出す場を作ることが目的だ。岡山という場所については、京都本社からのアクセスが良い点や場所の確保やインフラの問題などを総合的に判断した結果だ」と語る。
その中で進めているのが「コンカレント開発」の推進だ。「コンカレント開発」は設計上流で全機能部門でシミュレーションなどを活用しながら品質を作りこみ、手戻りを減らすことで開発のリードタイムを減らすことができる。岡山事業所では、こうした手法を徹底することで、開発のリードタイムの半減を目指し、現在取り組みを進めているところだという。
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