オムロンは2023年3月期(2022年度)第3四半期(10〜12月)の業績を発表。制御機器事業がけん引し、四半期として過去最高益を達成した。また、第3四半期累積(4〜12月)としても過去最高業績を達成している。
オムロンは2023年1月31日、2023年3月期(2022年度)第3四半期(10〜12月)の業績を発表。制御機器事業がけん引し、四半期として過去最高益を達成した。また、第3四半期累積(4〜12月)としても過去最高業績を達成している。
オムロンの2022年度第3四半期(10〜12月)の業績は、売上高が前年同期比23.4%増の2336億円、営業利益が四半期として過去最高となる同47.8%増の312億円、当期純利益が同84.3%増の226億円となった。累積業績(2022年4〜12月)も、売上高が同14.2%増の6380億円、営業利益が同9.0%増の729億円、当期純利益が同12.7%増の505億円となり、過去最高業績を達成している。
オムロン 取締役 執行役員専務 CFOの日戸興史氏は「第1四半期は上海ロックダウンの影響で減収減益となったが、第2四半期でV字回復し、第3四半期もさらに成長を持続する結果を示せた。変化対応力を発揮し厳しい環境を乗り越えることができた」と第3四半期の業績について語っている。
セグメント別では、第1〜3四半期累計業績で主力の制御機器事業の売上高が前年同期比15.6%増の3591億円、営業利益で同11.4%増の645億円となり順調な回復傾向を示した他、電子部品事業が、売上高が同17.7%増の1050億円、営業利益が同64.1%増の135億円となり、高い成長率を示した。
制御機器事業では、それまで大きかった中華圏がコロナ禍の影響で変動する中、それ以外の地域が伸長し、地域ごとのバランスが取れた成長となった。特に米州では、EV(電気自動車)や半導体に関する需要をつかみ、前年同期比17%増という大きな成長率となった。
日戸氏は「成長の原動力になったのが、ソリューションビジネスの拡大だ」と述べる。オムロンでは、2016年にモノづくり革新コンセプト「i-Automation!」を示し、コンポーネントの販売からソリューション提案へのシフトを進めてきた。これが成長の大きな原動力となっており、ソリューション関連の売上高の2016〜2022年度の年平均成長率は+22.3%となっている。さらに2022年度末には制御機器事業の売上高の内、ソリューション関連の売上高が34%を占める見込みだという。
2022年度通期の業績見通しは、第4四半期に世界経済の減速傾向があるものの制御機器事業の受注残の消化がまだ続く見込みであることから、売上高が前年度比15.3%増の8800億円、営業利益が同6.4%増の950億円、当期純利益が同5%増の645億円と、2022年10月に上方修正した見通しを維持する。日戸氏は「制御機器事業では、デジタル分野の需要が弱まってきているなど、分野によって濃淡はあるものの、受注残が今期中はまだあり今期はある程度読める。受注残は来期のどこかで解消する見込みであり、それがどのあたりに来るのかを見極めているところだ」と述べる。
また、2023年1月12日に社長交代人事を発表したことから、あらためて決算の場で、同年4月からの新経営体制についても紹介した。取締役会長に現社長の山田義仁氏が就き、代表取締役社長 CEOに現在の執行役員常務でインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の辻永順太氏が就任する他、代表取締役副社長 CTOに宮田喜一郎氏、執行役員専務 CHROに冨田正彦氏、執行役員常務 CFOに竹田誠治氏が就任することが紹介された。
また、各事業部門のトップも全て入れ替わる。制御機器事業を担うインダストリアルオートメーションビジネスカンパニーの社長には山西基裕氏、電子部品事業を担うデバイス&モジュールソリューションズカンパニー社長には江崎雅彦氏が就任する。それぞれ独立企業として、ヘルスケア事業を担うオムロン ヘルスケア 代表取締役社長には岡田歩氏が、社会システム事業を担うオムロン ソーシアルソリューションズ 代表取締役社長には四方克弘氏が就任する予定だ。
今回の人事異動でCFOを退任予定となる日戸氏は「ここまでの取り組みにより事業セグメントの絞り込みや商品ポートフォリオの再構成などを通じて、高いキャッシュフロー創出基盤を次世代に残すことができた」と過去の手応えについて語っている。
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