富士キメラ総研はECUの世界市場調査の結果を発表した。
富士キメラ総研は2023年4月28日、ECU(電子制御ユニット)の世界市場調査の結果を発表した。
電動化や運転支援技術の高度化、コネクテッド機能の追加などにより、2035年にECUの市場規模はグローバルで2021年比2.9倍の33兆9916億円に拡大すると見込む。ECUの機能を統合するドメインコントローラーの市場規模は、車両の統合制御の進展に合わせて2035年に同15.1倍の4兆9127億円に広がるという。
調査対象はパワートレイン系、「xEV」系(電動化)、走行安全系、ボディー系、情報系のECUと、センサー/アクチュエーターの計6領域だ。
各種電装部品の普及によってECUの搭載数も増加しており、2022年のECUの市場規模は前年比26.7%増の14兆7208億円と見込む。このうちxEV系は前年比2.1倍と高い伸びを予測している。今後は環境規制の強化や、自動運転/ADAS(先進運転支援システム)の高度化が後押しし、xEV系と走行安全系が特に成長するという。xEV系では、リモート操作での充電状態の確認や、テレマティクスと連動した充電サービスの提供、V2H(Vehicle to Home)との連動などの機能追加も期待される。
走行安全系は、運転支援機能や自動運転で制御が複雑化するため、ECUの搭載個数や搭載コストが増加すると見込まれる。車室内の快適性や利便性にかかわるボディー系は、高価格帯の車両ほど1台当たりのECU搭載数が増える。情報系は、車外との通信機能や車内エンターテインメント機器の増加によって市場が拡大する。
ECUの搭載数増加により、使用するワイヤハーネスが増える他、コネクテッド機能にかかわるデータ転送速度の低下などが課題となる。ドメインコントローラーで関連するECUを統合/集約することで、ワイヤハーネスの削減とデータ処理の効率化などが図れる。ドメインコントローラーを使ったE/E(電気/電子)アーキテクチャを採用した車両は2020年ごろから登場している。
半導体や回路部品、基板、センサー、コネクターなどのECUの構成部品の市場も成長する。電動化の進展に伴って流量センサーやガス濃度センサーなど将来的に減少するものもあるが、圧力センサーや磁気センサー、温度センサーなどは伸びが続く。ワイヤハーネスやコネクターはドメインコントローラーの市場拡大に伴って伸びが鈍化する。
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