2022年度連結業績は、売上高が前年度比6%増の10兆8811億円、Adjusted EBITAが同3%増の8846億円、コアFCFが同43%増の4164億円、当期利益が同11%増の6491億円となった。デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズの3セクターが好調に推移し、日立Astemoも極めて厳しい状況にあった2021年度から緩やかに回復して増収増益で、今回の増収増益の要因となった。
ただし、半導体不足と部材価格高騰、エネルギー価格高騰の影響は引き続いている。日立Astemoは、半導体不足と部材価格高騰、日立エナジーは部材価格高騰の影響が重くのしかかっており、半導体不足はマルチ調達や戦略的な在庫調達、代替品の対策で、部材価格高騰は売価見直しや原価低減で対応を進めている。なお、これまで事業環境のリスク要因としていたロシアによるウクライナ侵攻については「ある程度コントロールできるようになった」(日立 執行役副社長 CFOの河村芳彦氏)として、今回の決算発表から外している。
2023年度連結業績見通しは、上場子会社と2023年9月に持ち分法適用会社化される日立Astemoを「非連結事業」、これまでの3セクターの業績を「今後の連結事業」として分けて発表した。今後の連結事業は、売上高が前年度比3%増の7兆8400億円、Adjusted EBITAが同10%増の8000億円、当期利益が同23%減の4960億円。今後の連結事業と非連結事業を合わせた連結合計におけるコアFCFは、同25%減の3100億円。なお、買収作業が長引いているタレスDISの鉄道信号関連事業は2023年9月末に完了する前提で業績見通しに織り込んでいる。
2024中計の主要目標では売上高の年平均成長率5〜7%としているが、2023年度の成長率は3%と低いレベルにとどまっている。小島氏は「事業の収益力に問題はないが、為替変動や日本銀行の政策変更、安全保障といったマクロな外部環境の厳しさを織り込んでかなり保守的な見通し数字になっている。景気後退のリスクも大きく、半導体不足や部材価格高騰も引き続いており影響は無視できない」としている。
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