日立製作所が2022年度第1四半期の決算を発表。同年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比9%増の2兆5698億円、利益指標のAdjusted EBITAが同4%減の1548億円。急激に円安が進んだ為替影響などにより増収となったが、白物家電などの生活・エコシステム事業、自動車部品事業を手掛ける日立Astemoが減益の要因となった。
日立製作所(以下、日立)は2022年7月29日、オンラインで会見を開き、2022年度(2023年3月期)第1四半期(4〜6月)の決算を発表した。同年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比9%増の2兆5698億円、利益指標のAdjusted EBITA(調整後営業利益−買収に伴う無形資産などの償却費+持ち分法損益)が同4%減の1548億円。急激に円安が進んだ為替影響や買収したグローバルロジック(GlobalLogic)の好調さにより増収となったが、中国・上海のロックダウンの影響を受けた白物家電などの生活・エコシステム事業、中国のロックダウンに加え半導体不足の影響が引き続く自動車部品事業の日立Astemoが減益の要因となった。
日立 執行役副社長 CFOの河村芳彦氏は「ウクライナ情勢や資源価格高騰、米国の急速な利上げ、半導体不足などによりグローバル全体で実質GDP成長率は2022年度当初と比べて減速している。米国はリセッション(景気後退)に入ったと言っていいだろう。ただし、電力や鉄道をはじめ社会インフラへの投資意欲は衰えておらず、社会インフラ事業にコミットする日立としては、景気循環局面に入ったからといって事業展開の手を緩める必要はないと考えている」と語る。
2022年第1四半期の好調な事業としては、グローバルロジック、日立エナジー、日立ハイテクを中心とする計測分析システム事業が挙げられる。グローバルロジックの売上高は前年同期比47%増の463億円で、Adjusted EBITA率も23.1%と極めて高い水準にある。日立エナジーは、売上高が前年同期比14%増の3019億円となったことに加えて、大型案件による受注高が同2倍の6008億円まで膨れ上がっている。計測分析システム事業は、半導体製造装置や生化学免疫自動分析装置などの需要拡大により、売上高が同8%増の1564億円、Adjusted EBITAが同63%増の235億円となった。
一方、日立Astemoは売上高が前年同期比1%増の3882億円で増収となったものの、Adjusted EBITAは同178億円悪化の46億円の赤字に陥った。生活・エコシステム事業も、海外家電事業の売却とロックダウンの影響により売上高が同26%減の819億円、Adjusted EBITAも同67%減の43億円で減収減益となった。「日立Astemoと生活・エコシステム事業の中核となる日立グローバルライフソリューションズ(GLS)は、2022年度下期に向けててこ入れしていく。日立Astemoは、自動車部品サプライヤーとして受動的にならざるを得ないという課題があるが、デンソーやボッシュなどを参考に独自に動いて収益を稼ぐ部分を増やしていきたい。工場の統廃合や研究開発の選択と集中も行い、コストコントロールも進める。日立GLSは、国内市場で引き合いが強い冷蔵庫、洗濯機、掃除機に経営資源を集中する。また、海外販売で協業するトルコのアルチェリク(Arcelik)の販売網を活用して輸出を増やしていく」(河村氏)という。
2022〜2024年度の中期経営計画「2024中期経営計画」で重視しているデジタルソリューション群のLumada事業は、2022年度第1四半期が売上高で前年同期比58%増の3990億円でAdjusted EBITA率で約12%となった。特に、通信機能を備えた機器や設備のセグメントであるコネクテッドプロダクトが、計測分析システム事業の半導体製造装置や日立エナジーの送変電設備などで大きく伸びている。Lumada事業の2022年度通期見込みは、売上高が前年度比34%増の1兆8700億円、Adjusted EBITA率が約13%となっている。
2022年度通期の連結業績見通しについては、前提となる為替レートを1米ドル120円から130円に変更したことを受けて上方修正した。売上高は前回予想比3500億円増の9兆8500億円、Adjusted EBITAは同250億円増の8450億円、当期利益は変わらず6000億円となっている。
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