日立建機は、日立製作所から伊藤忠商事と日本産業パートナーズが折半出資する「HCJIホールディングス合同会社」への日立建機株式の譲渡による筆頭株主の異動と、これに伴って推進する事業方針について説明した。
日立建機は2022年1月14日、オンラインで会見を開き、同日発表された日立製作所(以下、日立)から伊藤忠商事(以下、伊藤忠)と日本産業パートナーズ(以下、JIP)が折半出資する「HCJIホールディングス合同会社(以下、JIPコンソーシアムSPC)」への日立建機株式の譲渡による筆頭株主の異動と、これに伴って推進する事業方針について説明した。
現在、日立は日立建機の株式を議決権ベースで51.5%を保有しているが、このうち26.0%分をJIPコンソーシアムSPCに1824億5700万円で譲渡する。これにより、日立建機の株式はJIPコンソーシアムSPCが26.0%、日立が25.4%保有することになり筆頭株主が入れ替わることになる。日立建機は、日立の連結対象からは外れるものの持ち分法対象としての関係性は残り、日立ブランドの継続使用や、日立が展開するデジタルソリューション群「Lumada」の活用や研究開発、部品取引、技術的な連携も継続していく方針だ。
一方、伊藤忠の資本参加によって、2021年8月に発表した米国ディア&カンパニー(Deer&Company)との北中南米の合弁事業解消に合わせて進めていた、米州全体における独自の事業展開の立ち上げを加速させるための支援を得られることになる。まず、日立建機は2021年10月に、北米で日立ブランドのホイールローダの製造・販売を担当する連結子会社である日立建機ローダーズアメリカの社名を「日立建機アメリカ」に変更し米州全域の地域統括会社とした。その上で、ディア&カンパニーとの合弁事業における米州内の販売代理店16社との新規取引開始でおおむねの合意を得ており、2022年3月の合弁事業終了、日立建機独自での事業展開に向けた準備を進めている。ただし、世界最大の建機市場である米州の事業をさらに加速していくためには、この他にもさまざまな施策を進める必要があった。
日立建機 執行役社長兼CEOの平野耕太郎氏は「今回、伊藤忠とJIPの資本参加によって北米での事業を加速できる。特に、建機の拡販において重要な役割を果たすファイナンスについては伊藤忠との協業の効果は大きい」と語る。日立建機と伊藤忠グループの東京センチュリーは、インドネシアとタイで既に建機ファイナンス会社を共同運営しており、そのノウハウを伊藤忠と東京センチュリーが北米で展開するファイナンスサービス会社に展開することで協業を進めていくことになりそうだ。
また伊藤忠は、コンテナ不足などで逼迫(ひっぱく)する海上輸送においてさまざまなリソースを有しており、北米に物流サービスの拠点・ネットワークも保有している。米州事業において、日本から北米向けに油圧ショベルなどの製品を輸出する日立建機にとって、この物流ネットワークでの協業も大きなメリットになる。
なお、JIPについては、中長期的な経営基盤強化への貢献やレンタル資産の管理運用などのアドバイスが期待できるとしている。
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