強いプロダクトをつなげる、日立最大規模の新セクターはシナジーを生み出せるか製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

日立製作所は、オンラインで開催した投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2022」において、新たに組織された「コネクティブインダストリーズセクター」の事業戦略を説明。同セクターの事業目標として、2024年度に売上高で2021年度比16%増の3兆2000億円、Adjusted EBITDA率で同3.6ポイント増の13%を目指す。

» 2022年06月14日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 日立製作所(以下、日立)は2022年6月13日、オンラインで開催した投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2022」において、新たに組織された「コネクティブインダストリーズセクター」の事業戦略を説明した。同セクターの事業目標として、「2024中期経営計画」の最終年度に当たる2024年度に、売上高で2021年度比16%増の3兆2000億円、Adjusted EBITDA率で同3.6ポイント増の13%を目指す。

2024中期経営計画におけるコネクティブインダストリーズセクターの事業目標 2024中期経営計画におけるコネクティブインダストリーズセクターの事業目標[クリックで拡大] 出所:日立
日立の青木優和氏 日立の青木優和氏

 コネクティブインダストリーズセクターは、2021年度までの日立の組織体制におけるインダストリーセクターに、昇降機などを扱うビルシステムBU、家電事業を展開する日立グローバルライフソリューションズ、半導体製造装置や生化学分析機器を手掛ける日立ハイテクなどが加わって新たに設立されたセクターである。日立の全社売上高の25%を占める最大のセクターであり、旧インダストリーセクターのインダストリーGr.、ビルシステムBUと日立グローバルライフソリューションズから成るアーバンGr.、日立ハイテクを中心としたアドバンストテクノロジーGr.という3つのグループで構成されている。

 日立 執行役副社長 コネクティブインダストリーズセクター事業統括本部長の青木優和氏は「日立が誇る強いプロダクトを集結させ、デジタルでつなぎ、ソリューションとして提供するのが当セクターのパーパスだ」と語る。例えば、日立ハイテクの測長SEMや生化学免疫分析装置、インダストリーGr.傘下のサルエアー(Sullair)の空気圧縮機、日立産機システムのマーキングシステムなどは、世界シェアで3位以内に入っているという。これらの強いプロダクトを基盤として、現場系の制御システムであるOT(制御技術)、デジタルシステム&サービスセクターが手掛けるITをつなげ、幅広い分野にソリューションを提供していくのが基本的な事業展開の方向性となる。

コネクティブインダストリーズセクターの事業構成 コネクティブインダストリーズセクターの事業構成[クリックで拡大] 出所:日立
コネクティブインダストリーズセクターの事業領域 コネクティブインダストリーズセクターの事業領域[クリックで拡大] 出所:日立

トータルシームレスソリューションを横展開

 これまで青木氏がけん引してきたインダストリーセクターは、この強いプロダクト、OT、ITの組み合わせから成る「トータルシームレスソリューション」を推進し、成果を得てきた。利益面で課題の大きかったインダストリーセクターは、2016年度の調整後営業利益率は−0.9%だったが、トータルシームレスソリューションの展開拡大によって2021年度には9.1%まで伸長している。

インダストリーセクターの収益改善に貢献したトータルシームレスソリューションを他2グループにも横展開する[クリックで拡大] 出所:日立

 このトータルシームレスソリューション展開を、強固な経営基盤を持つアーバンGr.とアドバンストテクノロジーGr.に広げることで、次の成長に向けた高収益な事業体にしていきたい考えだ。青木氏は、3グループそれぞれのポジションニングをマッピングしたグラフを使って、競合他社に対してビジネスモデルで顧客協創型を取っていることや、ソリューション提供範囲がプロダクト×OT×ITから成る全体レイヤーに広がっていることを示した。その上で「トータルシームレスソリューションを各分野に展開、進化させて、さらにグラフの右上を目指す。そして、3グループが重ねて拡大することで、競合他社に対してさらに差を広げられる」(青木氏)とした。

3グループそれぞれのポジションニングと目指す方向性 3グループそれぞれのポジションニングと目指す方向性[クリックで拡大] 出所:日立
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