日本テトラパックは、全国で展開する学校給食の牛乳用「テトラ・ブリック紙容器」のコーティングに植物由来のポリエチレンを使用した新包材を導入する。
食品の加工処理機器および紙容器の充填包装システムを扱うサプライヤーである日本テトラパックは2023年3月30日、全国で展開する学校給食の牛乳用「テトラ・ブリック紙容器」のコーティングに、植物由来のポリエチレン(PE)を使用した新包材を導入し、2023年4月から順次市場展開を開始すると発表した。
日本テトラパックは、新包材の導入により現在77%である同容器の再生可能資源比率を99%まで高め、バリューチェーン全体を通じて約23%のCO2排出量削減を実現する。
新包材に使用されるPEはサトウキビ由来で、化石由来のプラスチックにとって替わることで年間1100t(トン)の化石由来のプラスチック削減につながり、SDGsと環境省が掲げている目標「2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入」の達成を推進する。
原材料に使用されているサトウキビは英国のNPO団体であるBonsucro(ボンスクロ)が運営する「Bonsucro認証」を取得しており、持続可能なサトウキビ生産と責任調達を確実に行っている。
紙容器のコーティングに植物由来のPEを使用した新包材の採用は、日本国内で流通している学校給食用牛乳の紙容器の中で初めての事例になるという。既に、いかるが牛乳、オーム乳業、九州乳業、四国乳業、泉南乳業、チチヤス、森乳業の計7社については、2023年度内に新包材容器での製品供給開始を予定しており、全国約2580校の小/中学校へ環境により配慮した紙容器入りの給食牛乳が提供されることになる。
新包材は、導入に当たり乳業メーカーが工場で設備投資の必要がないことが評価され、複数の乳業メーカーが導入を検討中で、今後も採用件数の増加が見込まれている。そこで、日本テトラパックは、包材の製造を担う同社の御殿場工場(静岡県御殿場市)に対し、2023年度と2024年度で総額約3500万ユーロ(約49億円)の投資を行う見通しだ。新包材の生産設備拡充や今後の供給体制を確保することも投資の大きな目的としている。
また、テトラパックの紙容器は、全て森林管理協議会の「FSC認証」を取得しており、適切に管理された木材を原料とした再生可能な原紙を使用している。
さらに、植物由来のPEを使用した容器は、英国のCarbon Trustが運営する認証ラベルを容器に印刷することが可能で、視覚的にCO2削減率を訴求できる。
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