瀬川氏は、「近年、米国のテスラ(Tesla)が市場をけん引し、国内外でEV(電気自動車)を中心にSiCパワー半導体の需要が拡大している。しかし、SiCデバイスの原価でSiCウエハーが大部分を占めるだけでなく、SiCデバイスの歩留まりを下げる製造不良は、SiCウエハーの品質不良に起因するケースが多い。SiCウエハーの品質不良は、昇華法によるSiCウェハーのバルク結晶成長で生じる結晶欠陥やウエハーの機械加工で発生する残留加工ひずみ、クオリティーのバラツキが要因となっている」と語った。
続けて、「SiCウエハーはシリコンウエハーに比べて硬くて脆い材質で、現在の生産技術では製造工程において多くのロスが生じ、材料物性の知見に基づく革新的技術が強く望まれていた。そこで、関西学院大学と豊田通商は、これまで関西学院大学が25年に渡り培ったSiC関連技術と豊田通商の持つ企業ネットワークを活用し、ユーザー企業およびメーカーが広く参画できる開発プラットフォームを構築し、技術開発および実証を行ってきた。この開発プラットフォームを活用し、Dynamic AGE-ingを実用化するとともに、SiCパワー半導体の工業化を加速することを目的として、QureDA Researchを設立した」と補足した。
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