磁性材料や電磁材料といった高速無線通信用材料が持つ高周波特性をインラインで評価するスタートアップが仙台市青葉区で誕生した。それは、東北大学大学院の医工学研究科と工学研究科に所属する薮上信教授と沖田和彦学術研究員が設立した「Tohoku-TMIT株式会社」だ。
東北大学大学院の医工学研究科と工学研究科は2023年1月4日、開発した新技術「MSLプローブ法」をベースに磁性材料と誘電材料の評価受託およびコンサルタントを行うスタートアップ企業「Tohoku-TMIT(Tohoku Measuring Instrumentation Technologies、トーホクティーエムアイティ―)株式会社」を設立したと発表した。
近年、国内では、5GやIoT(モノのインターネット)が急速に普及した影響で、磁気センサー、パワーデバイス、磁気メモリ、電波吸収体向け磁性材料の開発が活発になっている。
こういった磁性材料や電磁材料に対する需要が高まる中、材料メーカーやデバイスメーカーでは、磁性体や誘電体の材料特性が製品の性能に直結することを踏まえ、その評価技術が重要だと認識している。しかし、従来は磁性材料や電磁材料の高周波特性をインラインで評価することは困難だった。
さらに、磁性材料や電磁材料の高周波特性をインラインで評価するためには、特殊な形状や加工などが必要で、コストや時間、手間がかかり、汎用性に問題があった。
そこで、東北大学大学院医工学研究科兼工学研究科 教授の薮上信氏と学術研究員の沖田和彦氏は、薮上氏の研究室で開発した技術「MSLプローブ法」を活用し、電磁材料の透磁率や誘電率の評価委託とプローブ販売を手掛けるTohoku-TMITを設立した。
Tohoku-TMITの本社は、東北大学青葉山東キャンパス(仙台市青葉区)にある薮上氏の研究室内に置く。開発したMSLプローブ法は、サンプルの大きさや形状に依存せずに磁性材料や電磁材料の高周波特性を測定できることが特徴。従来の測定技術では困難だったインラインでの測定が可能であり、顧客の材料特性評価で生じる手間を軽減できる。1〜3nmの極薄膜も評価でき、半導体の製造に用いられる12インチシリコンウエハーへの適用でも期待を集めているという。
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