スパコン活用で航空機用CFRP開発を加速するMIシステムの研究開発を開始材料技術

NECと東北大学は、スーパーコンピュータを活用し、航空機用の炭素繊維強化プラスチックの開発を加速するマテリアルズインテグレーションシステムの研究開発を開始した。航空機用複合材料の開発、製造コスト、期間を従来比50%以下に低減する。

» 2020年07月14日 13時00分 公開
[MONOist]

次世代航空機用複合材料の開発、コスト、期間を従来比50%以下に

 NECは2020年7月1日、東北大学と共同で、スーパーコンピュータを活用し、航空機用の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の開発を加速するマテリアルズインテグレーション(MI)システムの研究開発を開始したと発表した。次世代航空機用複合材料の開発、製造コスト、期間を従来比50%以下に低減し、国際競争力の強化を目指す。

 同研究は、内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」の研究開発課題「多機能CFRPの開発による高付加価値化」として実施する。東北大学が中心となって開発した航空機用複合材料、構造のシミュレーション技術とスーパーコンピュータの高速化技術、NECのベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を利用し、デジタル上で航空機用CFRPの材料開発ができる統合型システムを開発する。

 具体的には、まず、分子スケールの材料特性から、巡航時の機体に生じる力学応答までを解析するシミュレーションをスーパーコンピュータ上に実装する。これにより、高速かつマルチスケールに、材料選択から機体設計までを実施できる。同システムを共通プラットフォームとして利用することで、機体メーカーからの要望に適した材料開発も期待される。

航空機用複合材料開発の流れ 航空機用複合材料開発の流れ(クリックで拡大) 出典:NEC

 研究開発では、東北大学大学院工学研究科が、同システムに実装する各種の材料、構造シミュレーションを開発。同大学大学院情報科学研究科が、MIシステム向けに開発したシミュレーションプログラムに、ベクトル型スーパーコンピュータ高速化技術を適用する。また、システム構築には、NECのスーパーコンピュータの利用技術とシステム構築ノウハウを利用。SX-Aurora TSUBASAに開発したシミュレーションプログラムを実装し、システム化する。

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