NECプラットフォームズは、海洋プラスチックごみなどの環境問題の解決に貢献する高機能バイオ素材「NeCycle」の販売開始を発表した。当面は、高付加価値、環境性が求められる製品向けに展開をスタートし、事業規模を拡大。2025年度に年間50億円の売上高を目指す。
NECプラットフォームズは2020年6月29日、海洋プラスチックごみなどの環境問題の解決に貢献する高機能バイオ素材「NeCycle」の販売開始を発表した。
長年プラスチック問題に取り組み、2000年代前半から代替素材の開発に着手してきたNECが同素材の研究開発を進め(※注1)、NECプラットフォームズが量産および販売を行う。当面は、高付加価値、環境性が求められる製品向けに展開をスタートし、事業規模を拡大。2025年度に年間50億円の売上高を目指すとしている。
※注1:同素材の技術開発の一部は、科学技術振興機構(JST)先端的低炭素化技術開発(ALCA)の支援により実施。
NeCycleは、非可食バイオマスから抽出されるセルロース(約50%)と安全な成分で構成され、海洋や土壌といった自然環境の中で4年程度で分解される性質を有することが、人工海水を用いた模擬試験で実証されている。また、NeCycleは日本バイオプラスチック協会から「バイオマスプラ」に認定され、同素材を適用した製品は「バイオマスプラ・シンボルマーク」の使用が可能だという。
幅広い製品に適用可能な耐久性、射出成形による量産が可能な成形性も特長で、プラスチックと同等の利便性を実現。さらに、装飾性にも優れ、漆のような深みと高級感のある黒色を塗装工程を経ることなく表現可能で、製品形状の自由度や量産性にも寄与するとしている。
今回の量産・販売に加え、身近な商品を通してNeCycleを認知し、触れてもらうことを目的に、クラウドファンディングサービス「Makuake」を通じて、同素材を使用したスマートフォン用ケースの生産・販売も行う。
NECプラットフォームズは、耐久性などの改良を加え、製造および品質保証体制を構築することで、NeCycleの量産化に成功したという。今後は、同素材に最適な部品形状、成形条件、金型設計を提案しながら、環境性や装飾性を重視するインテリア製品、車載製品、OA機器など向けに、ペレットおよび成形部材での販売を展開するとしている。
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