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» 2022年08月04日 07時00分 公開

トヨタが推進するデジタル開発、同期開発コラボレーションと3D図面化の取り組みPTC Virtual Forum 2022(3/3 ページ)

[八木沢篤,MONOist]
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現況(2):3D図面化

 3D図面化に関しては、検図と作図で作業工数が約2.1倍に増えてしまった3D図面のトライ運用の結果を踏まえ、改善を図ったところ、次のトライでは従来と同等水準にまで工数を抑えることができたという。その決め手となったのが、「テンプレート活用、自動化による作図工数の削減」と「『Creo View』機能を使用した検図」だ。

3D図面化に伴う検図、作図工数増加への対応 3D図面化に伴う検図、作図工数増加への対応[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 テンプレート活用、自動化による作図工数の削減では、作業量が膨大で手作業での運用が中心だった形状作成、アノテーション付与、アノテーション名のリネームの作業に対して、「3DA-UDF(User Defined Feature)」というテンプレートを活用し、入力作業の効率化を図った。3DA-UDFを活用することで、座標系を選択し、形状タイプを選んで、パラメーターを修正するという必要最低限のステップで作業品質を上げるとともに、作業工数の削減につなげている。

 さらに、図面の見やすさなどの仕込みとして行う各ビューの設定では、Creoの「Web.Link」機能を用いた自動化を実現した。同機能によって、各ビューの設定を半自動化、あるいは各作業をガイドすることが可能となり、作業品質の向上や工数削減が図れる。

 そして、一連の作図作業における入力チェックでは、これまでミスが撲滅できずに後工程で問題が判明するケースが多々あったが、入力したアノテーション情報を全てExcel形式で出力することで、例えば、どの穴にどの情報がひも付いているかなどを、表形式/数値で確認できるように改善した他、出力したExcelをその後のモノづくり検討にも活用するという流れを確立した。

3D図面化 作図工数の削減に向けた改善 3D図面化 作図工数の削減に向けた改善[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 続いて、同じく工数が増えてしまった検図では、Creo View機能を使用した検図手法を確立することで改善を図った。これまでの2D検図では、赤ペンチェックやツールによる新旧図面比較などを行い検図していたが、Creo View機能を使用した3D図面の検図では、赤ペンチェックの代わりとなる「Design Check」機能を用いることで、3D図面に直接コメントなどを残すことができるようになった。また、検図担当者は、各寸法を選んで確認し、承認/完了などのステータスを反映したり、その結果を色で表示したりできる。

 さらに、これまで独自ツールで新旧図面の比較を行っていたが、Creo Viewが提供する「View State Compare」という機能を用いて、新旧モデルの比較を実施することにした。View State Compareに新旧2つのモデルを取り込むと相違リストが表示され、リストをクリックすることで該当部位の詳細を確認することが可能だ。

3D図面化 検図手法の確立 3D図面化 検図手法の確立[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 これら検図作業については、「まだまだ2D(紙)の手軽さには完全に追い付けていない」(大田氏)としながらも、Creo Viewの標準機能の活用に加え、アナログ的だが小回りの利くアプローチなどを組み合わせて工夫することで、検図作業のさらなる効率化につなげていきたいとの考えを示す。



 以上のような、同期開発コラボレーションと3D図面化によるデジタルプロセスのさらなる高度化の取り組み内容を踏まえ、大田氏は「技術的なめどは立ちつつあるが、これまでの歴史/文化や従来手法を“是”とする実務ユーザーにしっかりと寄り添って、共感を得ながら定着に向けて丁寧に進めていきたい。その一方で、弛まぬ改善を継続し、TPSに基づくデジタル活用、働き方改革に取り組んでいきたい」と意気込みを述べ、講演を締めくくった。

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