NVIDIAの仮想GPUを用いて、トヨタ自動車が3D CADによる設計業務のVDI化を進めている。CAD VDIの導入は目標の約5割を達成し、管理、設計、モデリング、実験、解析といったさまざまな業務で活用されている。
NVIDIAは2021年12月15日、同社の仮想GPUを用いて、3D CADによる設計業務のVDI化(デスクトップ仮想化)を進めるトヨタ自動車(以下、トヨタ)の取り組みを公開した。トヨタでは約5割のCADユーザーがCAD VDIを利用し、場所に縛られずに設計業務が可能になっている。
約1万3000人の従業員を対象にリモートワーク制度を拡大してきたトヨタは、2016年ごろから「NVIDIA 仮想GPUソリューション(NVIDIA vGPU)」を利用したCAD VDIの普及に向けて検討を開始。DX(デジタルトランスフォーメーション)開発推進部が中心となり、3D CADを使う設計開発部門のリモートワーク普及を目指してきた。
検討初期から画質やレスポンス、ネットワーク環境など、設計者とともに現地現物でテストとチューニングを繰り返し、検証した結果、NVIDIA vGPUでパフォーマンスの課題が解決。導入が実現した。
現在ではCAD VDIの導入は目標の約5割を達成し、管理、設計、モデリング、実験、解析、生産準備などさまざまな業務で活用されている。自席に設置された物理ワークステーションを利用しなくても作業が可能になるため、作業効率が向上し、設計開発プロセスの加速につながっている。
一部のユーザーは動作がやや緩慢だと感じることを理由に、今も物理ワークステーションを利用しているが、将来的にCAD VDIの性能が物理ワークステーションを超えれば、全てのCAD端末を利便性の高いCAD VDIに変更することも想定しているという。
トヨタでは、今後もCAD VDIへの置き換えを推進するほか、グループ企業へも同様の仕組みを紹介していく。また、CAD VDIの性能向上によるCADのハイスペック化、処理負荷が高いデザインやCAEなどもVDI上に構築し、働き方改革や業務のDX化を目指すとしている。
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