また、RISC-V Internationalによれば、RISC-Vの出荷数は2025年までに600億コアを超える見込みだが、「既に2022年度上期で100億コアに達するなど、この予想を超えるペースになっている」(カン氏)という。このRISC-Vの好調さの背景には、オープンであることに加えて米中摩擦という地政学的要因も存在している。IntelやArmなどの欧米企業のプロプライエタリなプロセッサコアと比べて、オープンソースのRISC-Vは利用制限されるリスクは小さいため、中国が政府レベルでバックアップすることでRISC-Vのエコシステム構築が進み、関連ソフトウェア拡充によってコミュニティーも活発になった。
中国だけでなくインドも国家レベルでRISC-Vを後押ししており、米国の政府機関もRISC-Vを採用している。また、大手半導体メーカーであるインテルがRISC-V Internationalに加盟して投資も行っている。カン氏は「インテルは次世代プロセスの『Intel 4』でRISC-V搭載製品に対応する計画だ」と説明する。
また、Armに対して低消費電力性能での優位性もある。同等の処理性能を持つの製品を開発する場合に、RISC-VはArmと比べて30~40%の消費電力低減が可能だ。また「Armは16年間で17ものISAをリリースしているが、RISC-Vは単一のISAでエッジからクラウドまで対応できる」(カン氏)という。
このRISC-VをベースにSiFiveは半導体IPプロダクトを展開しており、主に組み込み機器向けの「SiFive Essenstial」、高性能アプリケーション向けの「SiFive Performance」、AI(人工知能)アクセラレータの「SiFive Intelligence」の3つがある。Armのプロセッサコアとの比較では、SiFive Essenstialは「Cortex-M」や「Cortex-R」から「Cortex-A53」、SiFive Performanceは最新の「Cortex-A」を利用するアプリケーションに適用できるとする。SiFive Intelligenceは、ArmがデータセンターやHPC向けに展開している拡張機能「SVE2」に相当するという。
カン氏は「日本市場は保守的な面もあり、これまでRISC-Vの採用が積極的には進んでいなかった。しかし現在は、RSIC-Vに対する需要がかなり大きくなっており、日本法人を立ち上げるのは今がベストタイミングといえるだろう」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.