トポロジー最適化の計算手順を図3に示します。2重ループになっています。
図3の2重ループの外側の繰り返し回数が世代数です。1回目のループは第1世代、2回目のループは第2世代となります。
図3の*Aの「λの初期値を設定」を説明します。連載第6回と同じで、第1世代は式20の値を使い、第2世代以降は1つ前の世代のλを使用します。
図3の*B、*Cを説明します。Dは次式でした。λはマイナス値であることはお約束で、計算初期段階では式23の第2項が大きいため、λgもマイナス値となります。この結果、式17の第1項のD1はプラス値、第2項のD2はマイナス値となり、正負が拮抗(きっこう)して、Dが1になるようなρi、λ、λgが存在しそうです。
式17の第1項であるD1について述べます。{νσ}T{σ}は各要素に蓄えられる仕事量で、これを小さくしたいことが目的でした。{νσ}T{σ}が大きいと、D1は小さくなり、Dも小さくなります。よって、次のことがいえます。
D1の分母が大きい→蓄えられる仕事量が大きい→要素のスカスカ度合いをなくさねばならない→ρiを大きくする
D1の分母が小さい→蓄えられる仕事量が小さい→要素をもっとスカスカにしてもよい→ρiを小さくする
式17の第2項であるD2について述べます。λgがマイナス値であることを前提とします。分子に注目します。チェッカーフラグ状でないようにするには、上下左右のρが小さいとき、つまりゼロに近いとき、中央のρも小さくすべきです。上下左右のρが大きいとき、つまり1に近いとき、中央のρも大きくすべきです。ρiは周囲のρに合わせるのです。試験前に、前後左右の席の生徒が勉強していなかったら、安心して自分も試験勉強を始めない――。その逆もしかりですね。次のことがいえます。
D2が小さい(D2はマイナス値なので|D2|は大きい)→ρ左+ρ下+ρ右+ρ上が大きい→中央のρを大きくしなければならない→ρiを大きくする
D2が大きい(D2はマイナス値なので|D2|は小さい)→ρ左+ρ下+ρ右+ρ上が小さい→中央のρを小さくしなければならない→ρiを小さくする
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