人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」が、「パワハラ対策」についての調査結果を発表した。「パワハラ防止法」の認知度が前回調査から上昇しており、パワハラ対策上の課題として「管理職や経営層の理解の低さ」「基準が曖昧」が挙がった。
エン・ジャパンが運営する人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」は2022年3月24日、「パワハラ対策」についてのアンケート調査結果を発表した。
同調査の対象者は、人事のミカタを利用する企業の人事担当者で、497社から回答が寄せられた。改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)は、パワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を事業主に義務付ける法律で、大企業では2020年6月から義務化されている。中小企業でも2022年4月から施行される。
初めに、「パワハラ防止法」の認知度を調べた。その結果、「内容も含めて知っている」が34%、「概要だけ知っている」が50%となり、84%が「知っている」と回答した。2020年調査では「知っている」は77%で、今回7ポイント上昇している。「内容も含めて知っている」だけを比較すると、18%から34%と16ポイントアップしている。
「パワハラ防止法」についてどのように思うかについては、「非常に良いと思う」が34%、「まあ良いと思う」が56%となり、90%が「良いと思う」と回答した。2020年の調査結果と比較すると、「良いと思う」が82%から8ポイントアップしている。
次に、パワハラ対策の実施について尋ねたところ、「(対策を)行っている」が66%を占めた。パワハラ対策の実施率を企業規模別に見ると、企業規模が大きくなるにつれて実施率が上がっている。
パワハラ対策を「行っている」と回答した企業に、どのようなパワハラ対策を実施しているか尋ねた。その結果、「社内に相談窓口を設置」(80%)が最も多かった。次いで「就業規則に罰則規定を設ける」(56%)、「パワハラの対策方針の明確化」(45%)となった。
パワハラ対策を進める上での課題を尋ねたところ、「管理職のパワハラに対する認識・理解が低い」(55%)が最も多かった。次が「パワハラの基準・境界が曖昧」(43%)、「経営層のパワハラに対する認識・理解が低い」(37%)となっている。
パワハラ対策を進める上での課題について回答理由を尋ねた。「管理職のパワハラに対する認識・理解が低い」の回答理由には、「管理職によるパワハラがあっても、注意できる立場の経営者の認識が低く、抑止が難しい」「パワハラをしても刑罰など一切とがめられることなく昇進していく」などがあった。
「パワハラの基準・境界が曖昧」の回答理由には、「(暴力行為と異なり)言葉によるパワハラは意識の問題となるため、明確な線引きが非常に難しい」「協力会社間でのハラスメントについての解決方法について指標などがあれば良い」といったコメントが寄せられている。
続いて、社内のパワハラについて、どの程度把握しているかを尋ねた。「把握している」が6%、「大体把握している」が49%となり、55%が「把握している」と回答した。把握率を企業規模別に見ると、企業規模が大きくなるにつれて把握率が上がっている。従業員数1000人以上の企業は、2020年の59%から18ポイント上昇し、77%となった。
自社のパワハラを「把握している」と回答した企業に、パワハラをどのように把握しているかを尋ねたところ、「直接本人から相談があった」(57%)、「本人の周辺(上長、同僚など)から相談があった」(56%)、「社内のうわさで聞いた」(37%)などが挙がった。
また、パワハラが起こる部署の特徴や傾向を尋ねた。最も多かった回答は「上司と部下のコミュニケーションが少ない」(47%)だった。
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