「ネットのように自由な」IoTデータ流通基盤、ブロックチェーン活用で目指す:製造業IoT(2/2 ページ)
ぷらっとホームは現在、IoTゲートウェイやその周辺機器の他、IoT関連のコンサルティングやソリューションなどを提供している。同社がATLASプロジェクトを開始したのは2018年だが、その目的としては「インターネットのように自由なデータ伝送がなされる、開放型のIoTデータ流通基盤を構築する」(鈴木氏)狙いがあったという。
ぷらっとホームのIoTデータ流通基盤開発の経緯[クリックして拡大] 出所:ぷらっとホーム、BCCC
「クラウドに象徴されるように、現在のデータ管理プラットフォームは、あらゆるデータを1箇所に集めて蓄積するといった考え方に基づいて構築されたものも少なくない。ただこれでは蓄積したデータが流通せず、サイロ化してしまいかねないという課題があると感じている」(鈴木氏)
サイロ化しないIoTデータ流通基盤を目指す[クリックして拡大] 出所:ぷらっとホーム、BCCC
そこで情報を分散化して保存できるブロックチェーン技術に着目した。ただ、IoTデータ伝送は非常に高速で行われる。ブロックチェーンはあくまで台帳であるため、「リアルタイムで情報を高速に処理するのが苦手」(鈴木氏)だ。そのため、フィジカル空間でのモノのアクセス情報などを扱うDEXPFと、ブロックチェーン技術によってサイバー空間での契約締結や執行を行うPTPFを分けて、2層構造にすることでこうした課題の解決を目指している。
ATLASプロジェクトで実現を目指すアーキテクチャ[クリックして拡大] 出所:ぷらっとホーム、BCCC
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