全ての始まりは「データの標準化」から、IIoT基盤に求められる役割と機能IIoTの課題解決ワンツースリー(7)(1/2 ページ)

産業用IoT(IIoT)の活用が広がりを見せているが、日本の産業界ではそれほどうまく生かしきれていない企業も多い。IIoT活用を上手に行うためには何が課題となり、どういうことが必要になるのか。本稿ではIIoT活用の課題と成果を出すポイントを紹介している。第7回では、IIoT活用に必須の「データの標準化」と、これに対するIIoTプラットフォーム活用のポイントを解説する。

» 2021年06月21日 11時00分 公開

 IIoT(産業用IoT)活用を上手に行うためには何が課題となり、どのような機能が必要になるのか。IIoT活用の課題と成果を出すポイントを紹介する本連載だが、第7回では、IIoT活用に必須の「データの標準化」と、これに対するIIoTプラットフォーム活用のポイントを解説する。

≫本連載の目次

データ活用の観点から見たシステムレイヤー

 本連載では、IIoTの実現にはプラットフォームの存在が必須であり、SCADAがこのIIoTプラットフォームへと進化してきていることを示してきた(第2回参照)。IIoTと聞いて、真っ先に「予兆保全」や「データ解析による生産効率・歩留まりの改善」などの先進技術による目覚ましい成果を期待する人も多いのではないだろうか。

 しかし、これらの新たな価値を実現するためには、その大前提として生産設備データを活用するための準備が不可欠である。では、こうした生産設備データを活用するためにはどういったシステムが必要となり、これらを支えるIIoTプラットフォームにはどのような機能が望まれるだろうか。

 今回はこれらの点について、欧州のある自動車メーカーの取り組みを例にとって考えたい。IIoTプラットフォームの存在は不可欠であり、生産設備のデータの活用には、実は地味な部分が意外と重要となることが見えてくるだろう。

 工場内の設備が持つ生産データ活用に向けて、その自動車メーカーでは、データを活用するためのシステムを以下の4つのレイヤーに分けて考えたという。

 まず第1は、PLC(Programmable Logic Controller)を含む生産設備のレイヤーである。本稿ではこれを「ハードウェアレイヤー」と呼称する。このレイヤーでは、生産設備が製品の製造を行う上でのセンサーやアクチュエーターの情報を、それぞれが持つ記憶領域に格納している。データを活用する上で最も基礎となるレイヤーである。

 第2は、ハードウェアレイヤーに存在するデータを、タグ(変数)情報として収集するレイヤーである。本稿では「データレイヤー」と呼称する。このレイヤーでは、ハードウェアレイヤーのデータをリアルタイムに取得し、必要に応じてそれらを時系列データとして保存する。

 第3は、データレイヤーに蓄えられたデータを、人間が理解できる形で表現するレイヤーである。本稿では「ソフトウェアレイヤー」と呼称する。シンボルやトレンドグラフなどを利用して、いわゆる「見える化」を行うためのシステムがここに相当する。

 第4は、データレイヤーに存在するデータに対して価値を付加するレイヤーである。本稿ではこれを「ユースケースレイヤー」と呼称する。例えば、各データが製品の良品化・不良品化にどのように寄与しているか、装置の故障に対して何らかの予兆を示すかなどの指標の提示や、あるいは生産効率やその向上に必要となる情報の定期報告を行うシステムが相当する。

photo データ活用の観点から見たシステムレイヤー(クリックで拡大)出典:リンクス

 これらのレイヤーを考えると、予兆保全のためのデータ解析などはユースケースレイヤーに存在するシステムが行うこととなり、ハードウェアレイヤーからユースケースレイヤーまでをつなぐ部分が、IIoTプラットフォームの担うべき役割だといえるだろう。

 この時、ユースケースレイヤーで取り扱うデータ、すなわちIIoTプラットフォームが外部システムに提供するデータはどのような形になっていることが望ましいだろうか。これについて、この自動車メーカーでは「データの標準化」と「メタデータの活用」という2つの観点で取り組みを進めたという。本稿では、このうちの「データの標準化」について解説する。

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