産業用無線ルーターシリーズに、海外モデルと高精度測位モデルを追加 : FAニュース
日立産機システムは、産業用無線ルーター「CPTrans」シリーズに、海外対応モデル「CPTrans-MGW」と高精度測位モデル「CPTrans-GLW」を追加する。いずれもコンパクトながら堅牢な設計で、産業装置を容易にIoT化できる。
日立産機システムは2022年1月18日、産業用無線ルーター「CPTrans(シーピートランス)」シリーズのラインアップ拡充を発表した。海外対応モデル「CPTrans-MGW」を同年3月に、高精度測位モデル「CPTrans-GLW」を年内に発売する。
海外対応モデル「CPTrans-MGW」と高精度測位対応モデル「CPTrans-GLW」 出所:日立産機システム
CPTrans-MGWは、グローバル対応の通信モジュール(LTE Cat.4)を搭載。WAN側は、米国など60カ国の通信認可を取得している(2022年内に77カ国の通信認可を取得予定)。海外に設置されている装置や、輸出向けの産業装置などを容易にIoT(モノのインターネット)化できる。
装置側は、80×80mmとコンパクトな本体に、無線LANやEthernetなどを搭載する。既存の装置に簡単に装着可能で、少ロットで輸出される装置についても容易に遠隔監視できる。
高精度測位モデルのCPTrans-GLWは、移動体に対応。コンパクトなユニットに2周波GNSS測位モジュールとNtripクライアントを搭載し、各種位置補正情報サービス(RTCM)に対応するため、cmレベルの高精度な測位が可能だ。車載用ネットワークのCAN(Controller Area Network)通信にも対応する。なお、CPTransシリーズには、同じく移動体に対応する測位モデルのCPTrans-TLWがあり、バスや自動車などの測位情報を確認できる。
GLWとTLWは、自動車部品振動試験(JIS-D1601)をクリアし、IP67の防塵防水性能を備えるため、振動が多い建設機械や農機などにも搭載できる。同社は現在、日立建機と共同で、締固め機械の走行経路や転圧実施回数のデータから、締固め状況を総合的に管理するソリューションの実証試験を実施している。
日立建機との実証実験のイメージ[クリックで拡大] 出所:日立産機システム
MGWとGLW、TLWの本体の使用温度範囲は−20〜+60℃で、堅牢な設計のため産業用として使用できる。有線および無線LAN、シリアル通信(RS252C、RS485)などの設備側インタフェースや、汎用性に優れたカスタマイズ可能なソフトウェア、さらに管理サーバやクラウドと連携することで、端末のファームウェアや設定が遠隔から更新できる。
「CPTrans」シリーズの特長 出所:日立産機システム
工場のリモート対応は2022年も加速、映像活用拡大もネットワーク環境が課題に
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以降、多くの業務のリモート化が進められてきたが、これまで「現地現物現実」が基本として徹底されてきた製造現場でも部分的にリモート対応を取り入れる動きが広がってきた。2022年はこうした仕組みの整備が進み、さらにより広く取り入れられる見込みだ。
工場用のイーサネットって何だろう?
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第2回ではイーサネットとは何かを紹介します。
「OPC UA」とは何か
スマート工場化や産業用IoTなどの流れの中で大きな注目を集めるようになった通信規格が「OPC UA」です。「OPC UA」はなぜ、産業用IoTに最適な通信規格だとされているのでしょうか。本連載では「OPC UA」の最新技術動向についてお伝えする。第1回である今回は、あらためて「OPC UA」の概要と位置付けを紹介する。
いまさら聞けない EtherCAT入門
産業用オープンネットワーク「EtherCAT(イーサキャット)」をご存じだろうか。工場などの産業用オートメーションにおいて、フィールドネットワークのオープン化が進む中、なぜEtherCATの存在感が増しているのか。誕生背景やメカニズム、活用シーンなどを詳しく解説し、その秘密に迫る。
いまさら聞けないFL-net入門
オープンPLCネットワークの「FL-net(エフ・エル・ネット)」をご存じでしょうか。工場のさらなる高度化が進む中、工場ネットワークのオープン化は加速しています。その中でPLCの相互互換性を確保するオープンPLCネットワーク(OPCN)にも注目が集まっています。OPCNを実現する「FL-net」の誕生背景やメカニズム、活用シーンなどを解説します。
いまさら聞けないPROFINET入門
イーサネットベースの産業用ネットワークである「PROFINET(プロフィネット)」をご存じでしょうか。工場の高度化が進む中、工場ネットワークのオープン化は加速しており、オープンネットワークであるPROFINETの利用範囲は拡大を続けています。本稿では、PROFINETとは何かを分かりやすく解説し、その強みに迫ります。
いまさら聞けない IO-Link入門
インダストリー4.0などによりスマートファクトリーをはじめとする工場内IoTが注目を集める中、大きなカギを握る技術として注目度を高めてきているのが「IO-Link」です。製造現場のさらに末端情報を担うセンサーやアクチュエータからの情報取得を可能とするIO-Linkとは何かを、本稿では分かりやすく紹介します。
工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.