インダストリー4.0などによりスマートファクトリーをはじめとする工場内IoTが注目を集める中、大きなカギを握る技術として注目度を高めてきているのが「IO-Link」です。製造現場のさらに末端情報を担うセンサーやアクチュエータからの情報取得を可能とするIO-Linkとは何かを、本稿では分かりやすく紹介します。
「IO-Link」は、センサーやアクチュエータとの通信のために2013年に「IEC 61131-9」で標準化されたI/O接続技術です。旧来の3線式のセンサーやアクチュエータの接続技術を基に、数多くの評価を積み重ね、発展性ある技術としてリリースされました。情報化時代に向けて制御信号だけでなく、充実した診断データをセンサーやアクチュエータから取得可能。その他、非シールド線で標準化されたケーブル配線、パラメータ設定が容易であることなどの特徴を持ちます。
IO-Linkは、センサーやアクチュエータにデジタル通信インタフェースを持たせ、制御システムとの間で各種データ交換を双方向で行えるようにする技術です。
このインタフェースに対応したセンサーやアクチュエータを「IO-Linkデバイス」と呼びます。IO-Linkマスターに非シールド標準ケーブルで「1:1接続」する双方向通信技術です。IO-Linkマスターとは、IO-Linkデバイスを接続するI/Oモジュールの1種で、センサーやアクチュエータのハブ機能に該当します。このIO-Link技術はIEC 61131-9に登録されていて、マルチベンダー環境でIO-Linkマスターおよびデバイスを選択できます。
特徴的なのは、IO-Linkはフィールドバスではなく、センサーやアクチュエータをデジタル信号で上位に接続する技術ということです。オン/オフ信号、アナログ信号などの制御データだけでなく、製造メーカーやオーダ番号などのデバイス情報、パラメータ、診断データなどを同時に交信することができます。つまり、情報化時代に即した各種データ交換がセンサーやアクチュエータに至るまで行えるようになります。
IO-Linkのコンフィギュレーションは、デバイスごとにベンダーから提供される「IODDファイル(IO-Linkデバイス仕様を記述した電子ファイル)」をエンジニアリングツールに取り込むことから始めます。その後、IO-Linkマスターに接続するIO-Linkデバイスを割り付け、IODDファイルに登録されているパラメータ設定をすることでデバイス動作を指定します。パラメータの自動設定に対応したIO-Linkデバイスもあります。
パラメータは、IO-Linkデバイスに保存されると同時にIO-Linkマスターにも重複して保存されます(IO-Linkバージョン1.1以降)。このため、IO-Linkデバイス交換の際、新しいデバイスのパラメータはIO-Linkマスターから自動的にパラメータが転送されます。これにより、センサーやアクチュエータ前面にある操作キーを使わずにパラメータを設定でき、パラメータを意識せずにデバイス交換が行えるようになります。
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