こうしたサプライチェーンの混乱に対し、製造業では一時的対処としてさまざまな取り組みを進めている。ただ、打てる手は限られているのが現実だ。
主な取り組みとして進められているのが、新規調達先の開拓だ。通常の調達ルートでの交渉などを進めていくとともに、新たな調達先を見つけるために、新規開拓が活発化している。専門商社などの他、カタログディスティ(通販商社)など一般市場からの調達も活発化している。実際に半導体を中心としたカタログディスティであるコアスタッフでは、2021年に入ってから受注が急増しており、6月と11月に大きな山を迎えたとしている。
次に打てる手として考えられるのが、代替部品への置き換えだ。調達のボトルネックとなっている部品に代替可能な製品が存在すれば置き換えることができる。設計を変更することにより、ボトルネックの部品や材料を使わないようにしたり、できる限り少なくしたりする方向性だ。しかし、モノによっては置き換えが難しいものがある他、納入先の認定の取り直しや、設計および生産ラインの認可の取り直しなどが必要な場合などもあり、対応できるのは限定的だ。
また、自社内および社外の在庫調査や流通在庫の回収、不要在庫の買い取りの動きも見られる。ただ、これらも急を要するメーカーが、緊急度の低いメーカーから買い取るということで、マッチングがうまくいくケースに限定され、うまくいくとは限らない。
最終的に多くのメーカーが今右往左往しているのが、顧客への納期延長交渉である。先述したように、現在のサプライチェーンの混乱は一時的な需要の急増減によるしわ寄せの場合は平常化へと進む見込みだが、需要そのものが増加している領域では生産能力増強が需要に追い付いていないため「調達がいつ可能になるのか」のめどが立たない状況が続く。また調達コストも高まっているため、顧客企業にも納期の延長や価格の値上げなどの交渉を行う動きが広がり、結果としてあらゆる製品で納期遅れや納期待ちが生まれている。多くの企業からは「手に入らないものは仕方がない」と諦めムードも流れている。
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