ワクチン接種なども含め“Withコロナ”への動きが進んだ2021年。製造業においても復調が期待されたが、そこに水を差したのが半導体不足などを含むサプライチェーン混乱だ。2022年はこれらへの一時的対処が進む一方、今後も断続的に生まれるサプライチェーンの問題を抑制するような根本的な対応強化も進む見込みだ。
2021年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株の拡大など、2020年と変わらずパンデミックによる影響を大きく受けた1年となった。しかし、ワクチン接種の推進や治療薬の開発などが進んだことにより、世界は“Withコロナ”へと舵を切り、経済活動の通常化に向けて動き始めた点が2020年とは大きく異なっている。
製造業でもこれにより、大きな復調が期待されたが、その足を引っ張ったのが、半導体不足などを含むサプライチェーン混乱である。2022年も少なくとも前半は混乱が続くと見られ、一時的な対処が迫られる状況が生まれる。また、こうしたサプライチェーンのリスクに踏み込みながら、影響度を下げていくための体制的な強化への取り組みも進む見込みだ。
2021年はCOVID-19の影響による急速な経済活動の停止と再開などにより、世界中で需給バランスが崩れ、さまざまなモノ不足が進んだ1年だった。その顕著な例が半導体である。
コロナ禍によりテレワークを中心としたリモート環境が普及したことによりデータセンターを強化する動きが強まり、半導体需要が高まっている他、巣ごもり需要での家電やゲーム機、PC需要の増加、自動車生産の一斉再開による関連半導体の逼迫、5Gスマートフォン端末関連の拡大などにより、さまざまな領域での半導体が不足している。さらに、これらの逼迫を回避するために、大手製造業による在庫の積み上げが進んだ他、新規調達ルート開拓などに関連した多重発注や余剰発注などが行われたこともあり、実質的な需要以上の引き合いが生まれている状況である。
もともと半導体は“足が長い部品”だと位置付けられており、半導体を使う製造業では、生産能力の2〜3カ月分の在庫を確保している場合も多かった。しかし、納期遅れは半年から1年単位という声が多い。さらに、1年以上かかるとされているものも増えてきている。実際に2021年7〜8月にMONOistを含む3メディアで実施した部材不足についての読者調査では、「数カ月遅れ」が36.9%、「半年〜1年遅れ」も36.9%となり、これらが最も多い回答となった。現在は製品によってはさらに悪化しているものもあり、年単位でめどがたっていないものも多く生まれているのが現状だ。そのためこれらの製品を使用する部品や最終製品についても、半年から数年単位で遅れが目立ち始めており、さまざまな製品で納期遅れが常態化しつつある。
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