AIを用いて肺炎入院患者の経過を高精度に予測する技術を開発医療機器ニュース

富士フイルムと名古屋大学は、AIを用いて、院内のさまざまな部門システムで管理している診療データを基に、肺炎入院患者の経過を高精度に予測する技術を開発した。

» 2021年12月09日 15時00分 公開
[MONOist]

 富士フイルムは2021年11月22日、AI(人工知能)を用いて、院内のさまざまな部門システムで管理している診療データから肺炎入院患者の経過を高精度に予測する技術を、名古屋大学と共同で開発したと発表した。

 共同研究では、富士フイルムの医療機関向け総合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder」のデータベースを活用している。CITA Clinical Finderには、電子カルテ、放射線部門情報管理システム、検体検査システムなどのさまざまな部門システムから、医師記録、看護記録、患者背景情報、入院診療計画、検査結果、処置情報など多様な情報が集約される。これらの情報に既往歴などの入院前情報も含めたデータを活用し、患者個人の状況に応じて肺炎の経過を予測する。

 現在、肺炎の診療現場で経過予測に用いられているA-DROPスコアと、開発した予測技術について、値が1に近いほど予測精度が高いことを示すAUROC(受信者動作特性曲線下面積)を用いて比較した。その結果、A-DROPスコアが0.763であるのに対し、開発した技術は0.888と高かった。

 また、今回の研究結果を解析したところ、経過予測の根拠となり、精度を高める上で貢献していた項目は、食事情報や臨床検査結果など実際に医療従事者が経過を予測する際に重視している項目と一致した。

 肺炎は多くの臨床医が診療に携わる可能性が高い急性期疾患で、日本人の死亡原因の第5位とされている。これまではA-DROPスコアが入院患者の経過予測に用いられてきたが、同スコアは本来、入院時の重症度を評価するための手法であり、入院後の経過予測として利用するには精度に課題があった。

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