デジタルツインを実現するCAEの真価
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» 2021年12月02日 13時00分 公開

工場やオフィス、店舗などの効果的な換気対策を3D計測とリアルタイム解析で支援CAEニュース

サイバネットシステムは、エリジオンの協力の下、室内の空気の流れをシミュレーション/可視化し、効果的な換気対策の実現を支援する「3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービス」の提供を開始した。

[八木沢篤,MONOist]

 サイバネットシステムは2021年11月30日、3次元形状処理とデータ変換技術を得意とするエリジオンの協力の下、室内の空気の流れをシミュレーション/可視化し、効果的な換気対策の実現を支援する「3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービス」の提供を開始したことを発表した。

3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービスの利用イメージ 3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービスの利用イメージ[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム

サーキュレーターやアクリル板の設置位置は本当に正しいか?

 コロナ禍やポストコロナを見据えた社会・経済活動の本格的な再開に向けて、人が集まる商業施設やレジャー施設、職場環境などにおける感染防止対策の重要性が一段と高まっている。中でも、空調設備やサーキュレーター、アクリル板などを活用した室内の換気対策は、自治体からの助成対象(例:東京都「中小企業等による感染症対策助成事業」)となることから設置が進んでいる。

 しかし、これら設備の最適な設置位置や向きなどに関する具体的な指標は示されておらず、想定する設置場所に機材などをレイアウトした場合、実際に効果的な換気が行われるかどうかの検証や判断を、各施設/店舗が自ら行うことは現実的とはいえない。

 こうした背景を踏まえ、サイバネットシステムが新たに提供開始するのが、3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービスだ。工場、オフィス、レジャー施設、飲食店、スポーツジム、医療施設などでの利用を想定しており、サイバネットシステムが必要な機材を準備し、指定場所(対象の室内)を3Dスキャンして空気の流れをシミュレーション/可視化するとともに、その結果に基づき効果的な換気対策を提案する。

3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービスの流れ

 3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービスの流れは、シミュレーションに必要な室内の3Dモデルの構築、サーキュレーターやアクリル板の効果検証、結果を踏まえた効果的な配置位置の提案の3段階に分けられる。

 まず、指定場所となる室内を360度撮影が可能な3Dレーザースキャナーでスキャンし、取得した点群データから3Dモデルを構築する。3Dスキャン技術を活用することによって、図面のない施設でもシミュレーションに必要な室内の3Dモデルを容易に構築できる。

3Dスキャナーで取得した点群データ 3Dスキャナーで取得した点群データ(撮影場所:サイバネットシステムのオフィスフロア/スキャン時間:約2時間/データ後処理時間:約2時間)[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム

 続いて、構築した室内の3Dモデルを基に、室内の人物が話す際に生じる飛沫、エアコンやサーキュレーターの風の流れを可視化し、アクリル板やサーキュレーターの位置や向きを変えながら複数回シミュレーションを実施する。

3Dスキャンした点群データを3Dモデル化し、空調シミュレーションを実施した例 出所:サイバネットシステム

 例えば、サーキュレーターの配置などの条件を変えた場合でも、わずか数秒で空気の流れが可視化され、その様子を動画で確認できるため、その場で(注1)さまざまな検証と対策が行える。

※注1:指定場所の面積や構造などによっては、3Dスキャンやデータの後処理に時間がかかるため、当日中の検討が難しい場合もある。その際、シミュレーションは別日程で実施する。

 そして、得られたシミュレーション結果に基づき、サーキュレーターやアクリル板の効果的な配置位置の提案を行う。

サーキュレーターの向きを変えてシミュレーションした例。右図の方が効果的に換気できている サーキュレーターの向きを変えてシミュレーションした例。右図の方が効果的に換気できている[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム

エリジオンやAnsysのソフトウェアを活用

 これまで、図面のない施設などを現地で計測しながら3Dモデルを作成することは容易ではなかった。しかし、同サービスでは、エリジオン製の3Dスキャナー/点群データ活用ソフトウェア「InfiPoints」による大規模点群データ処理や、Ansysのリアルタイムシミュレーションソフトウェア「Ansys Discovery」による数値流体解析(CFD)を用いることで、3Dモデルの構築およびシミュレーションをその場で実行することが可能になったという。

 3Dシミュレーションによる室内換気対策支援サービスの提供価格(税別)は50万円からとなり、対象施設の面積や構造、立地などにより変動する。また、料金にはスタッフによる3Dスキャン撮影、データ後処理、シミュレーションの実施までが含まれている。

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