電子情報技術産業協会(JEITA)は2021年10月19日に、デジタル技術を活用した新しい社会と市場の創造を目指す「Green x Digitalコンソーシアム(グリーン × デジタル コンソーシアム)」を設立し、設立総会を開催した。
電子情報技術産業協会(JEITA)は2021年10月19日に、デジタル技術を活用した新しい社会と市場の創造を目指す「Green x Digitalコンソーシアム(グリーン × デジタル コンソーシアム)」を設立し、設立総会を開催した。
Green x Digitalコンソーシアムは、企業のカーボンニュートラル化の促進と産業および社会の変革につながる新たなデジタルソリューションの創出や実装に向けた活動を推進する場として、製造業、物流、インフラなどの業種や業界から56社がメンバーとして参画している。デジタル技術を活用しながらカーボンニュートラル化と産業促進を両立させるために業界の垣根を越えたさまざまな活動を推進する。
設立総会の冒頭、経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長の西川和見氏が登壇し「サプライチェーンでのCO2排出を管理するための取り組みは各業界で進んでいる。そうしたものが、今回のコンソーシアムにより他の幅広い産業や他のイニシアチブとうまく連携して、全体最適になることが重要だ。通信と情報処理、エネルギーがデバイスでもインフラの面でも融合するという流れが世界的に起きている。国内でこれらの動きが効率化され便利に進み、世界にも広がるように前向きに取り組んでいただきたい。グリーンとデジタルに関連するコンソーシアムをこのタイミングで立ち上げたことは時宜にかなうものだ。政府としても一緒に進めていきたい」などと語った。
Green x Digitalコンソーシアムが目指すのは、産業や社会の全体最適を図ることで、2050年カーボンニュートラルの実現に寄与することである。2021年度の事業計画では、この目標を目指すためにまず取り組むべき方針が示された。
具体的な事業としては、以下の3つの観点を中心に推進する。
活動はワーキンググループ(WG)を通じて推進。まず「見える化WG」と「バーチャルPPA早期実現対応WG」を立ち上げる。「見える化WG」は、サプライチェーン全体のCO2データを見える化(共有)するプラットフォーム(データ連携基盤)構築に向けた活動を行う。グローバルでのサプライチェーン全体の脱炭素化を求める取引慣行や、欧州を中心とした新たなルールメイキングに対し、これらを踏まえた上で、最適なデジタル技術の適用を進める。また、企業間の協働(エンゲージメント)を促進するように削減努力がデータとして適切に反映される仕組みを目指す。
バーチャルPPA早期実現対応WGは、民間企業で課題となっている再生可能エネルギー調達の手段を拡大するため、国内でのバーチャルPPA(VPPA/Virtual Power Purchase Agreement)の早期実現による新たな調達手段の確立を目標としている。
さらに、再エネ利用サービスの普及に関する事業も進める。この活動は製品やサービス、設備ごとの再エネ利用(環境価値)の表示や訴求について、その客観性や信頼性、一貫性を担保するためのデジタルソリューションの要件を明らかにすることを目指している。
再エネ利用をはじめとする環境価値の可視化についての検討を通じて新ビジネスを促進することも狙いの1つとし、2022年1月に新たなWGを設置する予定だ。データセンターの脱炭素化についても課題とする。政府の成長戦略会議で「低消費型データセンターの分散配置を行う」などの政策が示された。その方向性に沿って、データセンターの脱炭素化に向けて、産業界の関連プレイヤーでコンセプトモデルを作成。技術や政策の両面から課題を抽出して事業環境整備を図るため、2022年度以降のWG発足を目指す。
コンソーシアムの座長に就任した東京大学 大学院 情報学環教授の塚越登氏は「グリーン社会の実現に向けて、産業界の変革を促していくにはデジタルの技術が非常に重要だ。温室効果ガス排出状況の見える化、サプライチェーン全体の効率化や無駄の削減、デジタル技術をフルに活用した国土強靭化の取り組みが不可欠になる。コンソーシアムではグリーン × デジタルの取り組みに対してデジタル技術を提供する側と利用する側の双方の企業が協力して推進する体制を実現したい」などと述べた。
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