パナソニックの「とがったアイデア」を展示、蔦屋家電+でプロトタイプ展開催イノベーションのレシピ(1/2 ページ)

パナソニックは2021年11月8日〜14日にかけて、同社が展開するデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」が制作したプロトタイプを紹介する「未完成の未来 FUTURE PROTOTYPE展」を「蔦屋家電+」で開催中だ。

» 2021年11月10日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 パナソニックは2021年11月8日〜14日にかけて、同社が展開するデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY(FLF)」が制作したプロトタイプを紹介する「未完成の未来 FUTURE PROTOTYPE展(以下、FUTURE PROTOTYPE展)」を「蔦屋(ツタヤ)家電+」(東京都世田谷区)で開催中だ。食べ応えを再現する「食感VR」など6作品を中心に展示を行っている。

FUTURE PROTOTYPE展の展示ブース[クリックして拡大]

ラピッドプロトタイピングの方法論を実践

 FLFはパナソニックのデザイン本部に設置されたデザインスタジオであり、既存の同社の活動に捉えわれない“新規事業の種づくり”や、新しい豊かな暮らし方を実現するためのアイデア創出に取り組んでいる。これまでにDIY活動を後押しするモノづくりプロジェクト「D+IO(ドゥーイングアイオー)」や、活動成果を紹介する「DIG UP! あなたと考えるプロトタイプ展」などを行ってきた。2021年度からはデザイナー3人、デザインエンジニア3人の体制でプロジェクトを進めている。

 FUTURE PROTOTYPE展では「デジタルとフィジカルの融合」をコンセプトに制作した、「texture」「sonic」「sync」「tangible」「balance」「safe」の6作品をメインに紹介している。ラピッドプロトタイピングの発想に基づき、アイデアのプロトタイプをまず世の中に出して、多くの訪問者に体験してもらう中でコンセプトのさらなる深化と、製品としての実現可能性の向上を狙う。

かみ応え再現する「食感VR」デバイス

 textureは食べ物をそしゃくした際のかみ応えを、音などで再現するヘッドフォンのような外観の「食感VR」デバイスである。頬などに筋電位センサーを貼り付けて、かんだ際の動作を検知すると、食べ物に対応した音がスピーカーから流れる。例えば、やわらかい食品が食事のメインとなる嚥下(えんげ)障害を抱える人でも、実際に食べている感覚を楽しめるようになる。

 textureの開発者は「嚥下障害には誰もがなり得る。固形物をかみしめた時の食感は、食の楽しみを構成する大事な要因で、こうした機会を失わないように支援できればと考えた」と語った。

textureの外観(画像奥)。筋電位センサーを貼り付けて使用する[クリックして拡大]

 sonicはスピーカーを搭載した地球儀型のプラスチックモデルで、専用のピンを刺した地域の“音”が聞こえる、という作品である。刺した地域に応じて森の中の自然音や、鉄道の運行音など音の種類が変わる仕組みだ。現在、Web上では、世界中の個々人がスマートフォンやICレコーダーで録音した音をサンプリングしてデータベース上で公開する活動があり、今回のsonicではこれらの音源を使用したという。

 制作担当者は「日本では電車のモーター音が、イスラム教圏では礼拝の音が多いなど、公開される音源には地域差がある。具体的な予定はまだないが、こうした音源を用いたエンタテイメント作品の開発につながるかと考えている」と説明した。

sonicの外観。地球儀型のケースに専用ピンを刺していく[クリックして拡大]
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