家電のアドオンをマイコンで自作、パナのモノづくりプロジェクトが目指す未来イノベーションのレシピ(1/2 ページ)

パナソニックは2021年3月12〜25日にかけて、同社のデザインスタジオであるFUTURE LIFE FACTORYの活動を紹介する「DIG UP! あなたと考えるプロトタイプ展」を東急プラザ銀座で開催した。身の回りの素材や市販の電子部品を使ったモノづくりを促進する「D+IO」などのプロジェクトの成果を披露。

» 2021年03月25日 11時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 パナソニックは2021年3月12〜25日にかけて、同社のデザインスタジオであるFUTURE LIFE FACTORY(FLF)の活動などを紹介する「DIG UP! あなたと考えるプロトタイプ展(以下、プロトタイプ展)」を東急プラザ銀座(東京都中央区)で開催した。身の回りの素材や市販の電子部品を使ったモノづくりを促進する「D+IO(ドゥーイングアイオー)」などのプロジェクトの成果を披露した。

DIG UP! あなたと考えるプロトタイプ展の様子[クリックして拡大]

4テーマの展示

 FLFはパナソニックのデザイン本部に設置されているデザインスタジオで、グループ会社内で集められた6人のデザイナーらを中心に、社会課題解決につながり得る各種プロジェクトを推進している。新規製品の開発や事業創出自体を目的とするわけではないが、過去にはFLFのプロジェクトをきっかけに、集中力向上を狙ったウェアラブル端末「WEAR SPACE」などのプロダクトが生まれている。

 今回のプロトタイプ展ではD+IOの他、バクテリアや菌類との共生をテーマとした「Second Nature」、新しい形の働き方を提案する「3rd TIME マイクロワーケーション」、“性”に関する展示の「YOUR NORMAL」などが披露された。この他、イベントとして、トラフ建築設計事務所とのモノづくりワークショップをオンラインでのワークショップを開催した。いずれも参加者が多数集まり、反響があったという。

「実装するほどではない便利な機能」をアドオンで提案

 D+IOは「大切な人に届けるモノづくり」をコンセプトに、身の回りの生活用品にマイコンや各種センサー類を組み合わせた“レシピ”を提案するプロジェクトだ。その中でも、コロナ下で変化した日常生活で役立つレシピとして公開した、室内の二酸化炭素濃度が基準値を越えた場合にLEDで知らせる「CO2換気アラートデバイス」や、ハムスターなど小動物の健康管理ができる「小動物ヘルスケアデバイス」については、過去にMONOistでも報じている。

 この他、プロトタイプ展では「簡易メッセージングデバイス」「スマートオーナメント」「クロスモーダルエアコンスピーカー」「電子カスタム家具」の4つのレシピが展示された。

マイコンからコミュニケーションアプリのLINEを通じてメッセージを送る簡易メッセージングデバイス(左)と、インターネットを通じて取得した天気情報に応じてLEDの色が変わるスマートオーナメント(右)[クリックして拡大]

 例えば、クロスモーダルエアコンスピーカーは赤外線送受信ユニットと小型スピーカーをエアコンのリモコンに取り付けて、冷房を点けると風鈴のような涼しげな音が、暖房だと暖かく感じられるような音をスピーカーから出力する。

 パナソニック イノベーション推進部門 デザイン本部 FUTURE LIFE FACTORYの川島大地氏は「日本人は風鈴の音を聞くと、脳が涼しいと認識して、体感温度を下げる効果があるといわれている。実はこの風鈴の音を出力する機能は、当社エアコンの製品化時に『便利に思えるが実装するほどではない』として見送られたものでもある。今後はD+IOで、『実装するほどではない』が便利な機能を自作し、当社既存家電のアドオンとして活用できるレシピを提案していく方向性も模索する。消費者のニーズ多様化に応える、1つの解決策にもなり得る」と説明した。

リモコンに後付けするクロスモーダルエアコンスピーカー[クリックして拡大]
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