血液透析で重度の疲労を感じる患者に対し、電解水による透析を試みたところ、8週間後には疲労感がほぼ消失することが分かった。聖路加国際病院などによるこの研究成果は、透析患者のQOL改善や社会復帰に貢献することが期待される。
聖路加国際病院は2021年10月19日、血液透析により重度の疲労を感じる患者に対して、電解水による透析を試みたところ、8週間後には患者がほとんど感じないレベルまで疲労感が低下したと発表した。聖路加国際病院と愛仁会 井上病院、疲労科学研究所、理化学研究所、日本トリムの共同研究による成果だ。
血液透析は、間欠的に体液の大きな変動を繰り返すため、生体にストレスがかかり、患者は強い疲労感を感じる。今回の研究では、慢性維持透析患者95人に対して、通常の透析から、抗酸化性が確認されている水素を含む電解水による透析に変更し、疲労感に対するアンケート調査と自律神経バランスの測定を実施した。
その結果、通常透析では翌日まで疲労感が残った重度疲労の患者も、8週間後には疲労感がほぼ消失した。また、透析疲労感の軽減と自律神経のバランスの変化には相関関係が示され、疲労感軽減に交感神経と副交感神経のバランスが関係していることが示唆された。
血液透析は生命維持において重要な療法だが、疲労感などからQOL(生活の質)が損なわれているという課題がある。2016年度の血液透析患者の調査結果によると、体調が悪いために就業していない(就業したいができない)と約3割が回答しており、疲労感が社会復帰を阻んでいるケースもある。今回の研究結果は、透析患者のQOL改善や社会復帰に貢献することが期待される。
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