ダイキン工業と理化学研究所は、夏季オフィス環境における快適性や疲労改善に有効な温度と湿度を検証した。実験の結果、室温28℃でも湿度を55%以下に保てば快適性が向上し、40%では疲労も軽減できることが示された。
ダイキン工業と理化学研究所は2020年5月28日、夏季のオフィス環境における快適性や疲労改善に有効な温度と湿度を検証したと発表した。これは両者の連携組織である、理研BDR-ダイキン工業連携センターによる研究成果だ。
実証実験は、夏季の一般的なオフィス環境を想定し、室温24〜30℃、湿度40〜70%の範囲で実施。健康な成人男女に疲労負荷をかける認知課題を与え、快適性や疲労感、自律神経活動を評価した。
その結果、30℃では、湿度を低くするほど体感温度が低く感じられ、28℃では湿度が55%以下の時に、より涼しく感じられることが分かった。
不快感については、26〜30℃までの幅広い範囲で、湿度を下げることにより軽減されることを確認。また、疲労感については、室温28℃、湿度55%の条件下で軽減傾向が見られ、40%では著しく低下した。
生理的な影響も調べた。体温調節に関わる自律神経活動と心拍数について検証したところ、自律神経活動の指標となるLF/HF値は、室温の上昇に伴い有意に上昇した。
心拍数に関しては、24〜30℃の条件下では、湿度を下げることで有意な抑制効果が見られた。自律神経指標は、個人差が大きく低減傾向のみが確認できた。室温とともに湿度を調整することで、心拍数の上昇を抑えて、体への負担を減らせることが分かった。
さらに、性別による心理的影響の違いを検証した。男性は24〜26℃、女性は26℃で最も快適性が高くなる傾向が見られた。また、女性は28℃でも湿度を55%以下に抑えると、26℃と同等の快適性を感じていた。男性は28℃で湿度を調整するよりも室温を24〜26℃に下げる方が快適と感じていた。また、女性は、24℃まで下げると寒さで不快に感じる人が増えた。
今回の研究では、温度や湿度が保たれた室内での心理的、生理的評価を検証したが、両者は今後、屋外と屋内の温度差による人体への影響評価も検証して発表する予定だ。また、ダイキン工業は今回の成果を製品、ソリューション開発に応用するとしている。
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